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情報誌CEL

加藤 裕子

2015年03月02日

ケーススタディ:和の道具で暮らす

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媒体(Vol.)

備考

2015年03月02日

加藤 裕子

住まい・生活

ライフスタイル
住生活
消費生活

情報誌CEL (Vol.109)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。

かつて、生活のシステムは、世代から世代へと受け継がれてきたものだった。
しかし、現代の暮らしは過去の知恵が断ち切られた地点から、洋のものをがむしゃらに取り込んだことで、どこかバランスを欠いてしまっているのではなかろうか。
今からでも遅くはない。まずは先人が伝えてくれた美しく理にかなった道具を手がかりとし、暮らしの周辺を見直すことから始めてみよう。

明治以来、和洋折衷という試行錯誤を続けてきた日本人の住まい方は、今、かなり「洋」の方に振れていて、畳のない家も少なくない。食事はテーブル、くつろぐのはソファ、寝るのはベッドが主流となりつつあるものの、「洋」の住まい方をすっかり体得したわけでもなく、正しいベッドメイクの方法もボックスシーツのたたみ方も脱いだパジャマの置き場所もよくわからないままだから、つい散らかった状態になりがちだ。
こんな風に家がごちゃごちゃと散らかってしまう原因は、単に消費社会に生きる私達がモノを買って増やさずにはいられないから、というだけでなく、世代から世代へと受け継がれてきた住まい方の知恵が途切れてしまっていて、その場しのぎのハウツーや流行りに流され、根無し草のようにふらふらと定まらないまま暮らそうとしていることにもあるように思う。もし、生活の中で伝えられたきちんと正しい方法でベッドメイクされ、きれいにたたんだボックスシーツが引き出しにピシッとおさまり、脱いだパジャマもあるべき場所で次の出番を待っているという状態であれば、寝室の乱雑度合いは、かなり違ってくるはずだ。
私自身も、いい加減にベッドメイクされたベッドで寝ている口で、そんな自分の住まい方にどうにもしっくりしない違和感を抱えている。団地やマンションで育ち、いわゆる「和」の家に住んだことがない私だが、古民家や町家での暮らしを見聞きすれば、「理想的だ」と憧れずにはいられない。所詮"借り物"の「洋」の住まいではなく、いっそ和の住まいに回帰したいと思いつつ、諸処の事情でそうもいかなかったりする。

手ぬぐい

そんな私が、先人が培ってきた住まい方の知恵をたどる手がかりにしているのは、和の道具である。たとえば、手ぬぐい。かつては生活必需品だった和の道具の多くが、今はとても手が出ない高級品になってしまっていたり、使い方すらわからなくなったりしている中で、手ぬぐいは値段も手頃だし、使い勝手も悪くないから、手始めに試すにはうってつけだ。

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