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CEL編集室

2015年03月02日

ケーススタディ:京都ならではの新しい家のかたち

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2015年03月02日

CEL編集室

住まい・生活
都市・コミュニティ

住生活
都市居住
住宅

情報誌CEL (Vol.109)

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住まいは暮らしとともにある。暮らしは地域とともにある。家は、その土地で育まれた暮らしや文化に寄り添ってはじめて居ごこちのよいものとなる。
しかし、古都・京都にあっても、住まいの多様化が、まち並みや生活スタイルを様変わりさせているのが現状である。
四季の移ろいをたくみに取り込み、風や光を肌で感じながら自然と共生してきた京町家の知恵を今に生かした、新しい住まいのかたちを探る。

「住む」のではなく、「住みたい」家 ―― K氏にとって、たまたま訪れた8戸の新しい町家団地との出会いは、住まいへの認識を大きく揺さぶるきっかけとなった。
京都市東山区、古刹がひしめく地にその家はあった。周辺は古いまち並みが色濃く残るなかで、新築でありながら浮き上がることなく、しっくりと周囲になじんでたたずむ家。
「表の格子戸の風情が印象的でした」
通りに面した格子戸の細い隙間を通してまず見えるのは広い土間と中庭。その先にある部屋は、壁ではなく障子や引き戸などの建具で仕切られており、建具を開放すれば、表から濡縁、奥庭までがまっすぐ見通せる。それは、そのまま風の通り道ともなっている。
この家なら住んでみたい。家探しをしていたわけでもなかったのに、なかば「衝動的に」購入を決意した。これまでに何度も住み替えは経験している。その多くは堅牢なマンションでの生活。機能的で快適な住まいを存分に知ったうえでK氏が選んだのは、「平成の京町家 東山八坂通」と呼ばれる家だった。

「重ね着」という住まい方

「平成の」というと、伝統的な京町家とは別物の京町家「風」の家といった印象を受けるかもしれない。しかし、実のところ京町家は、明治から昭和の時代のなかでも変遷している。「平成の京町家」プロジェクトを進める京都市都市計画局住宅室住宅政策課の杉浦伸一氏と岡田圭司氏によれば、京町家はまち並みを形成する基本的な姿は変わらないながらも、暮らしの変化に合わせ、外観も内部構造も少しずつ手直しされており、それぞれに「明治の」「大正の」「昭和の」と区別できる違いがあるという。それを踏まえての「平成の」なのだ。
「京都議定書」誕生地として、地球温暖化問題に先導的に取り組む京都市にとって、環境に配慮した「省エネ住宅」の普及は必須課題である。

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