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CEL編集室

2015年03月02日

ケーススタディ:地方に寄り添う住まい方

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2015年03月02日

CEL編集室

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情報誌CEL (Vol.109)

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飛騨の人と木工に魅せられて

都会を離れて自ら選んだ土地に住まうことにした人は、どのように土地に根ざし、住まい、暮らしているのだろうか。
東京から飛騨古川に移り住み、古民家との出会いを機にものづくりの道へ進んだ浦西正幸さんの家を訪ねた。

山々に囲まれた岐阜県北部の飛騨地方は、豊富な森林資源を生かした木工が盛んな地域。古くは万葉の昔から優れた技術を持つ大工「飛騨の匠」が活躍し、近代以降は洋家具メーカーが次々に誕生、日本有数の家具産地として発展してきた。
飛騨の中心地である高山で、自社工房製のオリジナル家具や地元作家が手がけたクラフトなどを扱う店を営む浦西正幸さんは、今から約20年前、この地に魅せられて東京から移り住んだ。高山の隣町、飛騨市古川町に構える住まいは自力で古民家を再生したものだという。雪深い1月、現在は妻と生後8カ月の長女、愛犬の3人+1匹が暮らす浦西さん宅を訪ねた。

古民家との出会いを機に、ものづくりの道へ

浦西さんの出身は大阪で、地元の大学を卒業後、東京で服飾雑貨などの企画開発に携わっていた。地縁のなかった飛騨への移住のきっかけは、環境問題に興味を持ち始め、自然を大切にしたものづくりに携わりたいと思っていた折に、飛騨の家具工房の先駆けとして知られるオークヴィレッジの稲本正さんに誘われたことだった。移住に迷いはなく、新しい仕事も楽しかったが、家具職人と関わるうちに、自分も手を動かしてものづくりに携わりたいという思いが強くなったという。
そんな矢先、自らの思いをぶつける格好の対象に巡り会った。不動産屋で偶然見つけた1軒の古家だ。釘一本自分で打ったことがない素人だったが、大工見習いの友人に「半年もあれば改築できるのでは」と言われ、勢いで購入した。特に大変だったのは、解体・基礎工事だった。骨組みだけになるまで?がすのに約1年。それから基礎を補強するため、コンクリートの材料を買い、トラックを借りてバケツで水を運び、現場で材料を混ぜては流しこむ毎日。結局住めるようになるまで3年かかったそうだ。その間に、浦西さんは家づくりに専念するため、縁あって入ったオークヴィレッジを退社したが、自ら手がけたからこそ、より愛着が持てる住まいが完成した。

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