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情報誌CEL

中嶋 隆

2016年03月01日

大阪商人の生活力 西鶴の教訓

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2016年03月01日

中嶋 隆

住まい・生活

ライフスタイル
消費生活
その他

情報誌CEL (Vol.112)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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江戸のベストセラー作家、井原西鶴の浮世草子には、現代にも通じるさまざまな教訓が詰まっている。代表作『日本永代蔵』や『世間胸算用』から大阪商人の生活力を物語る一節を紹介し、今を生き抜くための暮らしの知恵を学ぶ。


江戸時代の本屋は、出版総合企業


現代日本の大都会は、東京と大阪である。それに、文化都市京都を加えた3大都市は、江戸時代にも「三都」と呼ばれて繁栄していた。「大阪」と書くようになったのは明治時代からで、江戸時代は「大坂」と表記したので、これから後の文章では基本的に「大坂」と書くことにする。
ところで、現在の大坂城を建てたのは豊臣秀吉だと思っている方が多いかもしれない。実は、江戸幕府の2代将軍徳川秀忠が再建したお城が、今の大坂城である。太閤秀吉の子秀頼と母淀君が死んだ大坂夏の陣で、大坂城は焼失、幕府はその跡に盛り土をして、新たに大坂城を建築した。
城だけではなく、この戦で秀吉の造った大坂の都市基盤が崩壊した。幕府は、この地を天領(直轄地)にして、新たな町割り(都市計画)に基づいたインフラ整備を行った。江戸堀・京町堀・阿波座堀・立売堀など運河を開き、伏見町人を移住させるなどして、都市機能を再生したのだ。
戦乱から半世紀経った1670年代(寛文10年ごろ)、諸藩の蔵屋敷が建ち並んで、諸国の米や物産を江戸へ送る拠点となった大坂でも、京や江戸に比べて遅れていた重要産業があった。出版業である。
自動車や電気製品が主要な工業製品となった現代人の感覚からいうと、たかが出版業と思われるかもしれない。しかし、江戸時代の主要工業製品は、織物と陶磁器、それに本である。織物も陶磁器も大坂ではあまり生産されていない。ということは、大坂には、地場産業が育っていなかったということになる。
楮を主原料とした紙、文字や絵を彫る桜の板。これが本作りに最低限必要な物産だが、特に紙は高価な工芸品である。今と比べて、流通商品として重要性が格段に高かった。それに出版業は、版下書き、絵師、彫り師、摺り師、表紙屋等、本が出来るまでの就業人口が多い。
大坂に井原西鶴というベストセラー作家が彗星の如く登場する。それをきっかけにして、大坂の出版業が育っていくことになる。


日本初のベストセラーは、出版文化「後発」都市大坂で生まれた


大坂では、1671(寛文11)年まで本屋がなかった。こういう重要な地場産業が、なぜ欠けていたのかというと、出版先進都市の京都が近くにあったからだ。

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