豊田 尚吾
2016年03月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2016年03月01日 |
豊田 尚吾 |
住まい・生活 |
消費生活 |
情報誌CEL (Vol.112) |
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社会を構成する最小単位は、ひとりひとりの「生活者」であり、その姿を知ることは、社会を知ることにも通じる。本連載では、「生活者」の意識や行動を測定したデータの様々な分析をもとに、現代の生活者の多様な姿に迫る。第二回のテーマは「幸せな地域・成熟社会」。その地域に合った幸せとは何かを考える手がかりとするべく、生活者の意識、行動を探る。
はじめに
今回のテーマは「幸せな地域・成熟社会」である。しかし、地域の幸せを測るための、全ての人が納得する尺度は存在しない。その地域で暮らす人たちが、自らの生活をよりよいものにする(ウェルビーイングの実現)ために、地域の幸せとは何かを議論し「定義」していくことが必要だとの姿勢を本稿ではとっている(『CEL』110号「なぜ、いま、『幸福感』なのか?」参照)。
今回の調査データ(*)を用いて、生活者個人の幸福度判断(主観的幸福度)から計算した地域別幸福度の平均値を比較しても、統計的に意味のある地域差は確認できなかった。そもそも幸せな地域とは、他地域との比較でとらえるものではなく、ありたい姿を考え、取り組むことで実現できるものであろう。その際の参考にしてもらえることを期待し、5つのトピックスを以下で取り上げ考察を行った。
その1 高年齢者に支えられている自治会活動
時代の移り変わりと並行して、地域コミュニティも変化し続けている。地域内交流は希薄になり、地域差はあれど昔ながらの深いつきあいは徐々に少なくなっている。そのような中で、自治会はまだ機能している数少ない地域の仕組みである。もちろん、新興の住宅地や賃貸の集合住宅では自治会が機能していないところもある。とはいえ、まだ一定の役割を果たしている地域も多い。そのような自治会活動を支えているのは誰なのだろうか。「あなたはこの1年で町内会(自治会)活動を行いましたか」という質問に対して、約62%が「行っていない」と回答した。
しかし逆にいえば3分の1以上が何らかの形でかかわっているともいえる。そこで年齢階層別の活動状況を見ると、Chart 1のような結果となった。
(*)大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所が行ったネットアンケート調査「ライフスタイルに関するアンケート」のデータ。約5000人を対象に、2015年2月に実施。調査主体は(株)マクロミル。