情報誌CEL
生活者の視点から考えるスマートコミュニティ
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
2016年11月01日
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加賀城 俊正
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住まい・生活
都市・コミュニティ
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ライフスタイル
コミュニティ・デザイン
地域活性化
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情報誌CEL
(Vol.114) |
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住む価値が実感でき、超少子高齢社会に対応できるコミュニティを目指して
ICTの活用で、エネルギー利用効率や環境性の向上が進むスマートコミュニティ。
一方、生活者はコミュニティに何を求めるのか、世界に先例のない超高齢化、単身化などが進む将来の社会像を見据え、どのような取り組みが必要となるのか。
生活者の視点から、心豊かな暮らしを実現するスマートコミュニティのあり方を考察する。
(1) 人を中心としてスマートコミュニティを考える
ある講演会で、デンマーク大使館の方が、「日本とデンマークのスマートコミュニティの写真を比較して何が違うか?」と問いかけた。その答えは“人”であった。日本は、どのまちも整然とした施設の写真。一方、デンマークは住む人の姿が常に写っていた。まちづくりの思想の違いが垣間見えた。
国内各地でスマートコミュニティの実証・導入が進み、ICTをエネルギー利用に活用することで30%程度の省エネ・省CO2の目途も立ち、その社会的意義は大きい。一方、人や暮らしが潤う姿が見えるスマートコミュニティが実現すれば、生活者がそのまちに住むことの価値を実感できる。世界に先例のない超高齢社会で心豊かに暮らしたり、COP21の合意も踏まえた環境問題などに道を拓くことも望まれる。これまでのスマートコミュニティの検討はハードウエアからのアプローチが中心であったが、もうひとつの柱として、人をベースにコミュニティのあり方をさぐるアプローチが必要と考える。そこで、以下の目的に向けた検討を始めている。
・“生活者”の視点からコミュニティを捉え、心の豊かさ、暮らしの質(QOL)(*1)を高める
・少子高齢化などの社会課題やエネルギー・環境問題の進展に対応する
これらの目的を達成するために、ICTだけでは限界もあるため、
①コミュニティのあり方
②住む人にとってのライフスタイルのあり方
について具体的に提案していく。
(2) ニーズからの検討 ―― 生活者が価値を感じるコミュニティとは
〈生活者のニーズから浮かんできたこと〉
生活者はコミュニティに何を求めるのか。心のうちをより的確に把握するため、Lively Collaboratorという課題把握力などの研修を受けた生活者と、Chart 1のプロセスでニーズを導いた。
(*1)QOL:Quality of Life