遠座 俊明
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2017年07月14日 |
遠座 俊明
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学会論文 |
10/22に開催される第12回日本応用老年学会大会(会場:桜美林大学四ツ谷キャンパス)に
一般演題報告(口頭)を以下の内容にて神戸大学片桐准教授と連名で申し込む。
(申し込み締切は7月末。査読を経て、9月中に報告可否連絡がある。)
題名:「セカンドライフ移行期の男女と地域との関係について:地域デビュー応援講座のフィールドから見えてきたこと」
【背景・目的】
人生2毛作時代となり単に働くだけでない充実したセカンドライフ開拓へのニーズが高まっている。一方、地域や自治体では地域の支え手に回る人々を増やすことが課題となっている。また、シニアが社会的活動を行うこと自体がその健康の維持・増進に貢献することも諸研究により明らかになってきた。
シニアの地域活動促進のために実施されている講座について、フィールド調査を行い、その効果や課題、改善点を検討する。
【方法】
定年や子育て等を終了した60代の男女を対象とした2016年度下期に行われた郊外住宅都市型地方自治体主催の「地域デビュー応援講座」について、受講前・後でのアンケート、受講中の行動観察、及び受講終了後にヒアリングを実施した。
【結果】
・講座申込み動機は「定年直後何をしてよいか判らなかったから」「暇でしょうがなかったから」「地域に入る術が判らなかったから」等で、「地域活動をしたいから」は少数。
・参加者の講座への評価は、地域に関する情報や高齢期に関する知識や地域活動・ボランティア活動に関する知識が得られたこと。
・セカンドライフ適応力に関する自己評価では、男性に受講後低くなる群が見られた。
・講座全体に対する役立ち感は男性が女性より高かったが、講座終了後具体的にやりたい活動が見つかった人は女性の2/3に対し男性は1/3に過ぎなかった。
自治体の講座実施目的と参加者の参加動機の間には乖離が見られ、また受講姿勢・効果については男女の差が大きかった。
【考察】
・職・住分離の生活や、地域でも買物等特定の行動しかしてこなかった人々にとって、仕事や家事からの解放後は「住んでいる地域や地域社会に対するリアリティ感の欠如を解消したい」というニーズが大きいことが推察された。
・男性は講座に対し「とありあえずの孤立感解消」で満足する傾向が強く、女性は「新たな知識・情報をもとにお互い誘い合って次の活動」とアクティブである。
・特に男性にとって講座は抱いていた自己イメージと実際の落差を体験する場になる。
・男女とも講座受講に際し求めていたのは “交流”と“自分にあった楽しさ探し”。
【結論(改善点・提言)】
受講者の参加度を高め受講効果を上げるには、講座の早い段階で凝集性を高める工夫が必要である。また、受講者が自分に合った地域活動に出会うお見合いイベントの開催や凝集性を促進しプログラムの効果を高めるガイド役を配置することが望ましい。
なお、地域へのソフトランディングのためには、それ以前の段階から地域に対する関心を高め、地域と関わり、地域に対するリアリティ感を醸成していく仕組みづくりも重要である。
以上