李 美花
2018年11月01日作成年月日 |
執筆者名 |
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2018年11月01日 |
李 美花 |
住まい・生活 |
消費生活 |
情報誌CEL (Vol.120) |
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かつては高性能・高品質の革新的なmade in Japanを数多く生み出し、和食文化にとどまらず、外食チェーンなど独自のビジネスモデルも確立してきた日本。
「ものづくり大国」として海外から「学び」の場となり注目されていたのは、今や昔だ。
大阪成蹊大学でマーケティング論などを教え、経営コンサルタントとしても活躍する韓国出身の李美花氏に、経済成長著しい韓国と現状の日本、両方の視点から、日本が学ばれなくなった理由を分析していただく。
平成の振り返りから気付くこと
韓国の大学で外食経営を専攻した筆者は1989年から始まった約30年の平成の後半期に当たる2003(平成15)年、韓国より巨大な日本の外食産業を学ぶために来日した。いつの間にか人生の3分の1を平成という時代とともに過ごしていることになる。ニューカマーとしての日本生活16年間を振り返ってみると、念願の学業を終え、結婚をし、研究者、教育者として個人的にいろいろな変化を経験してきた。
来年の4月30日に「平成」というひとつの時代が幕を閉じ、新しい元号へと変わる。
この平成という時代の日本は、バブル崩壊、金融システム危機、リーマン・ショックなどにより経済が停滞し、世間から「失われた10年」、最近では「失われた20年」とも呼ばれる。
確かに、バブルが崩壊したことで、日本経済は多大な影響を受け、長いデフレトンネルから抜け出せないまま、ひとつの時代が終わろうとしている。しかし、今日に至る経済の長期停滞の原因がそこだけなのか、それで片付けられることなのかといった抵抗感がある。むしろ、現状のデフレは、日本が気付いていないことを知らせているかもしれない。言い換えると、日本は世界が大きく変わるなかで後れを取ってしまい、グローバル社会において取り残されているのである。
日本人が失いかけているのは何か
筆者は日本人の優れたアレンジ力についてよく語る。たとえば、食に関してみると、今ではすっかり日本の食文化になったカレーライス・とんかつ・オムライスといった、いわば和洋折衷料理(日本風と西洋風の様式を程よく取り混ぜること)は、本来は日本になかった外来食であり、日本人の口に合うようにカスタマイズされた広義の「日本食」である。