CEL編集室
2018年11月01日作成年月日 |
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2018年11月01日 |
CEL編集室 |
都市・コミュニティ |
コミュニティ・デザイン |
情報誌CEL (Vol.120) |
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前コーナーの「交通まちづくり」の考え方とも軌を一にするカーシェアリング。
車は「所有する」ものではなく、「共有する」ものであるという意識変革はもとより、住民が主体となった仕組みづくりを徹底することで、コミュニティ再生も目指す。
『コミュニティ・カーシェアリングシンポジウムin石巻』に参加し、当事者への幅広い取材を通して、日本全国のまちづくりのヒントを探る。
カーシェアリングと聞くと、大都市の駐車場に配備された車を、会員がネットで予約して時間制で共同利用するという、大手企業が提供するサービスを思い浮かべる人が大半だろう。
しかし、東日本大震災の直後、これらとは一線を画した独自の仕組み「コミュニティ・カーシェアリング」を生み出し、宮城県石巻市でいち早く活動を始めた非営利団体がある。吉澤武彦氏率いる一般社団法人日本カーシェアリング協会だ。
同協会では、全国に車の寄付を呼びかけ、集まった車を被災地に届けるだけでなく、仮設住宅などに暮らす住民が車を共同利用するためのルールづくりなどのサポートを行ってきた。カーシェアリングの導入によって、移動交通手段が乏しい不便さが解消されただけでなく、乗り合いで外出する機会が増えたことで、自然と各地域のコミュニティが醸成されていったという。
人口減少や高齢化によって、交通弱者や孤立する高齢者が増え、コミュニティの弱体化が進む現象は、被災地だけにとどまらず、全国共通の社会問題だ。石巻の取り組みには、こうした問題を解くヒントがあるに違いない。
このような仮説のもと、7月14・15日に開催された『コミュニティ・カーシェアリングシンポジウムin石巻』の取材に赴いた。
カーシェアの先進国ベルギーなどの実例を報告
今回のシンポジウムには、カーシェアリング先進国のベルギーからふたつの非営利団体の事業者が来日し、吉澤氏や専門家を交えて、事例報告とパネルディスカッションが行われた。
ベルギーから参加した2団体は、Autodelen.netとTaxistop。それぞれを代表して、ジェフリー・マティス氏とアンジェロ・メウレマン氏が発表を行った。Autodelen.netはゲント市を本拠とする団体で、事業者や自治体と協力してカーシェアリングの振興を図るさまざまな活動を行っている。