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−過去の生活文化を掘り起こし未来を考えるきっかけに

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情報誌CEL

谷 直樹

2019年03月01日

「ルネッセ」を総括する
−過去の生活文化を掘り起こし未来を考えるきっかけに

作成年月日

執筆者名

研究領域

カテゴリー

媒体(Vol.)

備考

2019年03月01日

谷 直樹

都市・コミュニティ
住まい・生活

コミュニティ・デザイン
地域活性化
ライフスタイル

情報誌CEL (Vol.121)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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上方の生活文化・建築文化の研究を通して、日本の伝統文化の魅力を伝えてきた「大阪くらしの今昔館」の谷直樹館長。過去の学びから現在、未来を考えようとするその姿勢は、「ルネッセ」の理念と共鳴するものだ。これまでにCELと連携して行ってきた多くの活動を振り返りながら、成果や今後の展望を語っていただいた。

住まい文化をテーマにした「大阪くらしの今昔館」

36年前、私は国立民族学博物館の梅棹忠夫館長が主宰する『Seventyseven keys to the civilization of Japan(日本文明77の鍵)』の出版プロジェクトに参加した。この本は、日本で開かれた世界の有名ホテルの総会に合わせて作った英語版の日本案内である。「日本人はどこからきたか」「自由都市」「大阪」「黒船」「テレビ」「ニュータウン」など日本の歴史キーワードを世界的・歴史的パースペクティブの中でとらえ、外国人に理解してもらうことを目標に編集された。併せて日本人自身が見落としてきた日本文明の姿を明らかにしようとする、当時としては画期的な企画であった。
2001年、大阪の住まい文化をテーマにした「大阪くらしの今昔館」(大阪市住まいのミュージアム)が開館した。私は、館長として梅棹プロジェクトで学んだことを応用することにした。「住まうこと」を通して、「歴史に学び、世界と比較し、現代を知り、未来を考える」というコンセプトを展示の基本に据えた。当初は日本人来館者だけであったが、2003年の観光立国宣言以降、政府による海外からの観光客誘致が実を結び、今昔館でもインバウンド(訪日外国人旅行者)が増えてきた。また2013年に「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されて世界的に「和の文化」が注目された結果、和の住まい文化への関心も高まっている。

CELと共同で行った外国人のための住まい劇場

こうした状況の中で今昔館では、2017年、内閣官房の「オリンピック・パラリンピック基本方針推進調査」の採択を受け、「外国の皆さまと考える“和の住まい文化劇場”――上方の生活文化を感じる一日」が開かれた。これは今昔館の再現町家と、地元にあって今も生活の場である吉田家住宅(1921年建築、国の登録有形文化財)を舞台に、外国の方と大阪の「和の住まい文化」を再発見する試みである。イベントに際して、今昔館と連携協定を結んでいるCEL(大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所)の全面的な協力を得た。池永所長と弘本研究員には、企画だけでなく、文化・芸術団体や関西の領事館との交渉をお願いし、事業の成功へと導いていただいた。
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