情報誌CEL
「ルネッセ」を総括する
−広がる「ルネッセ」 未来へと文化を紡ぐ企業の活動
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2019年03月01日
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情報誌CEL
(Vol.121) |
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情報誌『CEL』やイベントを通じて、「ルネッセ」の考えに賛同していただいた方々に数多く出会った。今回紹介するふたつの企業は、自らの文化活動のなかに、「ルネッセ」の理念とのつながりを見出してくれた。その活動の内容を紹介する。
大阪寿司の復権を目指し歴史を掘り下げたい
株式会社Mizkan[ 大阪支店営業推進課長]日向智之
1804年に尾張国知多郡半田村(現在は愛知県半田市)で創業したミツカンの歴史は、寿司と深い関係にあります。酒造が盛んだった地域で創業家は、酒粕を用いた赤酢の生産に新たなビジネスを見出しました。それがちょうど江戸で生まれた握り寿司(江戸前寿司)の流行と重なり、全国的な普及につながりました。
一方で寿司には、1000年以上続く長い歴史と地域ごとの多様性があります。握り寿司が「SUSHI」として世界中のマーケットに広がっていくことは大歓迎です。でも、寿司にはまだ掘り下げられていない別のポテンシャルがあるのではないか?大阪支店で仕事をしていた私たちが、大阪寿司の復権と発展を目指して研究を進め、さらにPRイベントまで行うようになったのには、そうした問題意識が背景にありました。
もともと小さなプロジェクトとして始まりましたので、当初は社内でも応援してくれる人も少なく、存続の危機に瀕したこともありました。そんな折に縁あって松岡正剛さんや情報誌『CEL』と関わり、「ルネッセ」を知る機会がありました。過去の歴史を知り、現在や未来につなげていくという考えに共感するとともに多くのことを学び、そして何より勇気づけられました。
都への献上物として、さまざまな寿司が近畿地方に集まってきたこと。北前船など海運によって各地の料理文化とつながっていたこと。そういう場所で育まれた大阪寿司の味には、全国の郷土寿司とつながる、さまざまな要素が詰まっています。そして今、たとえば中国などから訪れる観光客に大阪寿司を食べてもらうと、意外なほどに評判がよいのです。足りないのは大阪寿司がなぜ、どう美味しいのかという特徴や歴史を語るストーリー、そして情報発信です。私たちは多くの人と協力し合いながら、これからも大阪寿司の歴史を掘り起こし、目に見える形、味わえる形で、より魅力的な大阪寿司を発信していけたらと思っているところです。