遠座 俊明
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2019年07月01日 |
遠座 俊明
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都市・コミュニティ |
コミュニティ・デザイン |
情報誌CEL (Vol.122) |
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企業の働き方改革が注目される昨今だが、膨大な時間が生まれるリタイア後においてこそ、「ライフ」に占める「ワーク」の意味と内容が深く問われるべきではなかろうか。数々の意識調査や、自ら地域社会の就労プロジェクトに参加して得た実証研究から、高齢期においても社会とつながることと人が活きるエネルギーとの関係性を考えた。
超高齢社会の到来
日本の高齢者(65歳以上)比率は、2018年、ついに28%を超えた。それがまだ7%だった1970年頃"高齢化社会"といわれはじめ、1994年に14%を超えて"高齢社会"へと昇格した。21%の"超高齢社会"に突入したのが2007年。そして昨年の28%に至るわけだが、14%からその2倍になるまで僅か24年しかかからなかった。現在は超(スーパー)超高齢社会と呼ぶのだろうか?日本の高齢化の特徴は、今後、高齢者人口自体はさほど増えなくなるが、少子化による人口減少が進むことにある。そのため、高齢者の占める割合はさらに増加していき40%に迫ると予測されている。現在は、未だかつて人類が経験したことのない超高齢社会のほんのまだ入り口に立っているにすぎない。人が亡くなる年齢の最頻値は、2017年『簡易生命表』によると、男性87歳、女性93歳。"人生=90年"はすでに2017年にクリアしてしまった。急激な高齢化と変化が激しくなった社会では、これまでに作られてきた制度や価値観が時代に合わなくなり、さまざまな問題が生じている。これからの超高齢社会の中で長くなった人生をどう生きていけばよいのか?その生き方について考察を試みる。
地域デビュー応援塾に参加して感じたこと
具筆者は、定年を迎える前年の2017年秋から半年間、自分自身の定年後の生き方の参考にすべく、定年や子育て後のリタイア層である60代に向け自治体が主催する「地域デビュー応援塾」へ特別の許可を得て参加し、ほかの参加者に動機や参加後の感想などをきいた。
すると、男性では「暇でしょうがなかった」「地域に入る術がなかった」「定年直後何をしてよいかわからず右往左往していた」「定年前にやりたかったことは、いつでもやれるとなると、やる気がなくなったから」、女性では「地域のことを知りたかった」「勤めがそろそろ終わるが、何も趣味がないから」という結果だった。