𠮷田 憲司
2020年03月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2020年03月01日 |
𠮷田 憲司 |
都市・コミュニティ |
コミュニティ・デザイン |
情報誌CEL (Vol.124) |
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博物館がつなぐ人、文化、社会
――異なるものへのまなざし
40年以上にわたり文化人類学研究を牽引してきた大阪・千里の国立民族学博物館(民博)。
急速なグローバル化による社会の変化のなかで、「これからの博物館はどうあるべきか」を常に問いかけながら、さまざまな取り組みを進めてきた。
「取り組みを通じて、これまでの『自文化』と『異文化』という区別をはじめ、日本に住む我々のものの考え方のなかにも偏りがあることを発見した」と話すのは、同館の𠮷田憲司館長だ。
そのプロセスは今号のテーマ「異なるものをつなぐ」ための重要な視点となろう。
𠮷田館長に民博のこれまでの取り組みや、博物館がつなぐものとその可能性についてお聞きした。
1970年開催の大阪万博跡地に建てられた国立民族学博物館(民博)は、文化人類学、民族学の研究活動と、その成果を展示公開する博物館活動を一体的に行う「博物館機能をもった研究所」である。広大な敷地に建つ黒川紀章氏設計による研究部門と展示部門などからなる棟は、民族学博物館としても、また、20世紀後半以降に築かれた民族誌コレクションの収蔵点数としても世界最大規模を誇る。
開館四十周年にあたる2017年3月には本館の常設展示の全面改修も完了した。10年の歳月をかけて全面的にリニューアルした展示場は、オープン展示を主体とし、どこでも写真撮影が可能なほか、展示物に手で触れることが可能な場も多く設けられている。
本館2階の展示場に向かう途中、目にとまるのは、イントロダクション展示と題された4つの展示台だ。たとえばある展示台には「似ている? それとも違う?」の問いかけがあり、日本の獅子舞など何点かの展示物が並ぶ。解説を読むと、どれも仮面だが、世界各地のものだとわかる。その隣の展示台には、一見何の関連もなさそうなふたつの展示物が飾られ、「違う? それとも似ている?」との問いかけ。解説を見て驚いた。なんといずれも棺桶だという。最後は「これは道具? それともアート?」の問いとともに、見なれた形の椅子と、動物の形をした椅子と思われる外見が異なる椅子が並べられていた。これらのなぞかけのような展示の意味するところとは?
アフリカの人類学、ことにザンビア・チェワの人びとの仮面を、長年研究フィールドとしてきた𠮷田憲司館長は、次のように解説する。