CEL編集室
2020年03月01日作成年月日 |
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2020年03月01日 |
CEL編集室 |
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コミュニティ・デザイン |
情報誌CEL (Vol.124) |
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語りべシアター シンガポール公演報告
―― 文楽を通して、大阪・上方の歴史と文化を紹介
まちの歴史や文化を物語として編集し、音楽と映像を交えた語りで伝える「語りべシアター」。
活動を始めてから25年を経た2019年9月、2日間にわたる初の海外公演をシンガポールで実施した。
現地の観客から大きな反響を得た公演の様子を紹介する。
「語りべシアター」初の海外公演
日本文化に関する情報発信の拠点として2009年にシンガポールに設立された在シンガポール日本国大使館ジャパン・クリエイティブ・センター(以下、JCC)。日本を紹介する機関として、伝統文化や芸術をはじめ、食、ライフスタイル、建築、科学技術、アニメ・漫画・ファッションなどのポップカルチャーまで、さまざまな日本の文化を紹介するイベントを開催している。
そのJCCが2019年の設立10周年を記念して10月に開催したのが、人形浄瑠璃・文楽の公演だ。17世紀の大坂で生まれた文楽は、ユネスコの無形文化遺産に登録される日本を代表する伝統芸能である。しかし、シンガポールで文楽の公演を行うのは初めてのこと。そこで、文楽に馴染みのないシンガポールの方により味わい深く鑑賞してもらうため、記念公演に先立ち、文楽の見方や魅力、文楽が生まれた時代背景を、「語りべシアター」の公演手法を活用して紹介することになった。
「語りべシアター」にとっても、海外公演は初の試み。今回は、大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所(CEL)の栗本智代研究員、ピアニストの宮川真由美さん、現地在住の能楽パフォーマーで篠笛奏者の未波さんの3人で公演に臨んだ。
文楽の魅力をどのように伝えるか?
シンガポールは親日の国で、街中のいたるところで、日本食や日本のブランドを目にする。多くのシンガポール人が何度も日本へ旅行し、テレビでは日本を訪れる旅行番組が放送され、タクシーに乗れば日本語を話すドライバーに出会う……という具合に、日本文化が日常に溶け込んでいる国である。
シンガポールでは今までに、歌舞伎、能楽、狂言などの日本の伝統芸能が上演されてきた。とはいえ、日本人であっても難しいイメージのある文楽をどのようにシンガポール人に伝えるのか? それが、今回の大きな課題であった。「シンガポールのお客さまがどの程度、日本や大阪の歴史、伝統芸能に興味があるのか全く予想がつきませんでした」と、栗本研究員も当初の不安を振り返る。地元関西での公演でも、わかりやすく伝えるための創意工夫に時間をかけているそうだ。