佐別当 隆志
2021年07月01日作成年月日 |
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2021年07月01日 |
佐別当 隆志 |
住まい・生活 |
住生活 |
情報誌CEL (Vol.128) |
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リモートワークの普及を背景に、場所にしばられない働き方が広がるなかで、複数の家を転々としながら暮らす「多拠点居住」に注目が集まっている。
全国の物件に住み放題となるサブスクリプション(定額課金)サービスを展開するベンチャー企業「ADDress」の代表・佐別当隆志氏は、都市と地方の両方に暮らす新しいライフスタイルが、「全国創生」の糸口になるという。
多拠点居住サービスの仕組みと、その未来像についてお話を伺った。
近年躍進するサブスクリプションと「ADDress」の存在感
月額料金などの定額を支払い、サービスを利用するサブスクリプション(以下、サブスク)。近年、動画や音楽、電子書籍といったコンテンツ利用に限らず、ファッションや家具、家電、車などを定額で利用できるサービスも目立ってきた。市場規模は2019年に1兆円を突破し、2023年には約1.4兆円にまで拡大する見通しだ。
2018年創業のADDressは、住まいのサブスクを提供する会社だ。全国に一軒家や提携宿泊施設の住まいを設け、月額料金を支払って会員になれば、どの家でも滞在できる。ほとんどの家が個室を利用でき、シャワーやトイレ、キッチン等は共用。本格的なサービス始動の2019年10月末には20カ所だった物件数が、2021年5月には160カ所超となり、全都道府県での滞在が可能になった。また、会員数も1年半で5倍に増加した。急成長の背景にあるのが、コロナ禍によるリモートワークの急速な普及だ。「会社に毎日通わなくてよいなら、家賃の高い地域に住む必要はない」と考える人の都心離れは、各メディアでも取り上げられている。また、いっとき自宅を離れ、景色のきれいな場所でストレスを緩和しながら仕事をする「ワーケーション」も注目されている。佐別当氏は言う。
「コロナ前のメインターゲットはフリーランスや自営業等、働く場所を自分で決められる人でした。しかしコロナ禍の今、会員の半分以上を会社員が占めています。テレワークできる会社員が、月に数度は出社しながら主に都市部近郊の家を回るようなワークスタイルをとっています。よって人気の家は長野や山梨、静岡、千葉、神奈川、大阪、京都、奈良など、都心から1、2時間で行けるところです」
近年、全国各地の宿泊施設と提携して「月額制でホテル泊まり放題」とするサービスは増えているが、ADDressは単なる住まいの定額サービスを提供したいわけではないという。