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情報誌CEL

高田 光雄
加茂 みどり

2021年07月01日

新しい住まいのかたちとは何か − 持続可能性と中間領域から考える

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2021年07月01日

高田 光雄
加茂 みどり

住まい・生活

住生活
ライフスタイル
住宅

情報誌CEL (Vol.128)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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少子高齢化のさらなる進展、家族という概念の変化、住まいと地域の関係、そしてシェア居住やサブスクリプション、IoTに代表される技術革新など、住宅とそれを取り巻く環境がかつてなく大きく変わりつつあるなかで、これからの住まいが進むべき方向、指針をどう考えていけばいいのか。
大阪ガスによる実験集合住宅NEXT21で指導的立場にある高田光雄氏を迎え、今あらためて、住まうことの基本と未来像をさまざまな角度から再定義する。

自然との関係を意識することで豊かな“住みごたえ”を味わう

加茂 本日は、先生にも長年ご指導をいただいている、ここNEXT21[*]で、これからの住まいにとってどんな点が大切になっていくのか、幅広くお聞かせいただきたいと思います。

高田 NEXT21では、少々使い古された言葉かもしれませんが、住まいにおける「持続可能性(sustainability)」についてずっと考えてきました。第二次世界大戦以降の日本の住まいは、常に効率を重視して研究も実践も行われてきました。実際には70年代の半ばぐらいから状況が大きく変わったのに、住まいづくりはなかなかそれについていけなかった。コロナ禍で露呈した課題も踏まえて、単に効率というのではない、真に豊かな住生活を支える住まいについてもう一度きちんと考える必要性を強く感じます。

加茂 持続可能性ということでは、先生は以前から「環境的」「社会的」そして「文化的」という3つの点から検討してこられたわけですが、そもそも持続可能性自体は環境から始まっていると考えてよろしいでしょうか?

高田 そうですね。ただ、住宅の分野で環境というと、どうしても、どれだけエネルギーを上手に使ったか、健康にとってどれくらいプラスになるのかなど、効率面の話が中心になりがちです。しかしそれだけではなく、人が自然と関わって真に豊かな暮らしを育むということも、住まいにおける環境的な持続可能性を考えるときには大事だと思っています。

加茂 私はずっと京都の町家で暮らしてきたんですが、外の音もよく聞こえるし、風鈴もあって風も通るような暮らしだったのが、マンションに引っ越すと音も全然聞こえず、外で雨が降っているかどうかもわかりません。その点で、自然と暮らしている感覚とは程遠い状態が続いてきたのを痛感します。


*大阪市天王寺区にある大阪ガスの実験集合住宅。地上6階、地下1階で、3階以上に18戸の住戸がある。1993年の竣工以来、定期的な改修を行いつつ、実際の居住を通じたさまざまな提案・実験・検証を行う。
https://www.osakagas.co.jp/company/efforts/next21/

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