佐久間 洋司
岡田 直樹
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2021年11月01日 |
佐久間 洋司 |
住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.129) |
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1990年代後半から2010年代前半に生まれたZ世代。
生まれた時からインターネットが存在するデジタルネイティブとされる若い世代にとって、今まさに進展するデジタル社会はどのように映っているのか?
異なる世代で同じ問題を共有しているのだろうか?
Z世代を代表する新進気鋭の研究者である佐久間洋司氏に、昭和世代の岡田直樹研究員が迫った本対談。
デジタル社会における問題点や課題解決の道筋まで、世代を超えて幅広い議論が展開された。
科学技術による「人類の調和」――ムーンショット型研究開発事業について
岡田 まずは佐久間さんがチームリーダーとなって取り組まれている研究内容についてお聞かせください。
佐久間 まずムーンショット型研究開発事業から説明しますと、超高齢化社会や地球温暖化問題など、今後我々が直面する重要な社会課題を解消するために、単なる従来技術の延長にはない、大胆で挑戦的な研究開発を推進しようとする、内閣府が主導する事業です。これまでに7つの開発目標が設定されていたのですが、アフターコロナの社会情勢を見据える中で新しい目標を検討しなければいけないということで、2020年に「ミレニア・プログラム」が新たに設置されまして、その中で我々のチームが採択されました。
岡田 採択された中では、佐久間さんのチームが最も若手なのですよね。
佐久間 そうです。みな私と近い年齢で、もしかすると2100年まで生きるような世代。顔ぶれも研究者に経営者、司法修習生、現代美術家、SF小説の編集者と多彩です。こうしたメンバーで取り組んでいるのが「人類の調和」を目指すための研究なのです。
岡田 「人類の調和」とはどのようなことなのでしょうか?
佐久間 「2050年までに、誰もが自律的な個人としての幸福を感じながらも、人類という集団としても調和に満ちた社会を実現する」というのが私たちの掲げる目標です。簡単に言いますと、個人と集団の双方の幸福が両立している状態を目指そうというもので、それを「人類の調和」と捉えています。
このテーマを設定した背景には、「分断」の問題があります。政治的分極化、経済的な不平等、そしてSNSにおける誹謗中傷といったレベルまで、現代社会はさまざまな分断を問題として抱えています。そしてコロナ禍は、それらの問題を顕在化させました。そうした分断を根本的に解消するための道筋を考えようというのが私たちの研究なのです。