前田 章雄
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2022年09月01日 |
前田 章雄
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エネルギー・環境 |
エネルギー・ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.131) |
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1987年の創刊から35年。
『CEL』は時代と対峙し、未来を見据え、さまざまなテーマに挑んできた。
その足跡を今、改めてたどってみたい。
今回は1991年に刊行した『CEL』18号を取り上げ、「ジオカタストロフィ」という壮大なテーマに挑んだ意義を考察した。
――「ジオカタストロフィ」(Geocatastrophe)とは、「地球の破局」を意味する。
このところ、人口爆発、オゾン層の破壊、温暖化、異常気象、酸性雨、森林破壊、砂漠化、難民、飢餓等々、地球の危機、人類の危機を予告するようなニュースが毎日のように伝えられている。
ジオカタストロフィ報告書は、そうした状況判断に基づき、「現在のような状況がつづけば、人類はあと100年以内に滅亡する可能性もある。二一世紀は人類最後の世紀になるかもしれない」という仮説を立て、その検証をシナリオの形で提示したものである。(引用部表記は当時のまま)――
この文章は、31年前の『CEL』18号で特集として掲載したジオカタストロフィ報告書から抜粋したものだ。「ジオカタストロフィ」という単語は、前述の通り「地球の破局」を意味する造語である。
地球の破局という仮説は、よく聞くストーリーだ。有名なものとして、アル・ゴア氏が出演した映画『不都合な真実』があげられる。アメリカ元副大統領のゴア氏は、こうした啓発活動が評価されノーベル平和賞を受賞。アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞も受賞した同作は世界に衝撃を与えた。
この『不都合な真実』が映画化されたのが、2006年(日本での公開は翌年)である。一方の「ジオカタストロフィ」は、1991年に『CEL』誌上で提言がなされている。『不都合な真実』から遡ること、じつに15年も前のことだ。
同報告書は、エネルギー・文化研究所(通称CEL:Research Institute for Culture, Energy and Life)の5周年記念事業の一環として発表された。CELは、過去から未来への歴史・時間軸と、内と外の地理軸とを重ね合わせ、これからのあるべき姿を研究・デザインして、社内外へ情報発信することを目的に活動している。その5周年記念事業としてジオカタストロフィ研究会を立ち上げることになったのは、ふたつの偶然からだった(以下、各氏の発言はいずれも上記『CEL』18号より)。
そのひとつは、1989年に行われたある一般公開シンポジウムの「地球ロマン」と銘打ったパネルディスカッションの場であった。