山本 貴代
2022年09月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2022年09月01日 |
山本 貴代 |
住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.131) |
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日常はコロナの蔓延で一変。急ぎ足でやってきた少し先の未来を、欲望・行動・価値観の観点から女性の視点で解読。本音を探るアンケートから、新たな気づきを発見するコーナーです。
新米ママラボ発足!!
男女雇用機会均等法が施行されてから早36年。女性の社会進出で人生の選択肢は増え、価値観も多様化しました。
「24歳で肩叩かれて寿退社」は死語。「晩婚」「晩産」という言葉も普通に使われるようになり、いまや平均初産年齢は、30.7歳(1985年から4歳アップ)です。
CEL×女の欲望ラボは、昨年夏、「新米ママラボ」を発足。働くママたちの現状を知るため、新米ママたちを全国から募集しました。そこでの調査をもとに、少子化に拍車がかかる今、どうしたら働きながら出産・育児しやすい環境が整えられるか、ベテランママ(マダムラボの50代ママ中心)たちの意見も加えながら、探っていきたいと思います。まずはデリケートなマタニティ期の働き方について考えてみました。
制度が整っても、なかなか言い出せない妊娠
育児休業の制度化(1991年) に始まり、マタニティマークの登場(2006年)、イクメンの台頭(2007年)、ハラスメント教育、不妊治療の保険適用、男性育休取得の義務化などなど、この十数年で社会の制度や環境は急速に整いつつあります。さらに裁量労働制やコロナ禍のテレワーク導入で、ベテランママが妊婦だった頃と比べると、今は、妊婦としての働きやすさに天と地の差を感じます。
かつても職場の理解や上司の配慮はあったようですが、「前例がなかったので相談できる相手がいなかった」と聞きます。男性に負けないよう日々闘っていたため、「自分たちが切り開いていく立場だから泣き言は言えなかった」ようです。しかし制度や環境が整いつつある今も、職場でなかなか妊娠を言い出せないなどマタニティ期のストレスが大きいことがアンケートから見えてきました。グラフを見ても、その割合は昔のママより増えています。「体調が一番悪くて辛い安定期前、誰にも言えないし配慮してもらえず途方に暮れた」「悪阻の時も人手が足りないので言い出せず、無理して働いていた」「営業職だったため戦力外になってしまったと感じ、自分の存在価値を見出せなくなり辛かった」「査定が気になって言い出せなかった」「バリバリ仕事をしてきたので、妊娠を報告すると、あまりいい反応が返ってこなくてとても悲しい気持ちになった」など、妊娠初期の不安の声は見過ごせません。