青木 安輝
2023年09月01日作成年月日 |
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2023年09月01日 |
青木 安輝 |
都市・コミュニティ |
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情報誌CEL (Vol.133) |
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問題が起こるとその原因をひたすら追究し、それを直そうとする「問題志向」が一般的である。機械が相手なら有効であっても、人や組織に関する問題だと、解決に向かわないばかりか、悪化すらしかねない。そこで、人や組織の問題に対して有効な手法として注目されているのが、「解決志向」(ソリューションフォーカス)である。「なぜダメなのか」ではなく、「どうすればいいか」に焦点を当て解決策を考えるのである。解決志向の研修やコンサルティングを専門に行う、株式会社ソリューションフォーカス代表・青木安輝さんにお話を伺い、併せて広島県廿日市市役所における実践例を紹介する。
ソリューションフォーカスという考え方は、精神療法のブリーフセラピー(短期療法)の一流派であるSolution Focused Approach(以下、SFA)がもととなっている。SFAは、1980年代半ばにセラピストであるスティーブ・ド・シェーザー、インスー・キム・バーグ夫妻により創始された、問題の解決に向けて原因を出発点に考えるのではなく、「解決した姿」に向けてその人がすでに持つ能力や資質を出発点に考えるセラピーである。一対一の面談で支援者が活用するためのノウハウとして生まれたSFAは、やがてビジネス分野にも応用されるようになり、2002年にはSFAを取り入れたコーチング、コンサルティングで組織開発をしようとする専門家たちがSOL(Solutions in Organizations Linkup)Worldという国際交流大会を欧州で初開催した。以降、同大会は欧州の主要都市でボランティアの主催により毎年開催され、そのなかでビジネス領域等に幅広く応用されるようになったSFAはソリューションフォーカス(以下、SF)と呼ばれるようになる。
青木安輝氏は1994年に有限会社エヌ・エル・ピー・ジャパンを設立、企業向けのコミュニケーション研修やメンタルヘルス研修、コーチング研修を行ってきた。SFとの出会いのきっかけは、ブリーフセラピーの海外講師による講演で通訳を担当したことだった。
「『どこがダメなのだろう』と原因を考えるのではなく、いい方向の未来を想像し『何をすればそこに向かっていけるのだろう』と小さな一歩に焦点を当て会話をする手法でした。