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情報誌CEL

吉本 光宏

2025年03月01日

文化的「入会地(いりあいち)」としてのコモンズが育むもの −期待される多様な営みとステークホルダーの役割

作成年月日

執筆者名

研究領域

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媒体(Vol.)

備考

2025年03月01日

吉本 光宏

住まい・生活
都市・コミュニティ

ライフスタイル
まちづくり
コミュニティ・デザイン

情報誌CEL (Vol.136)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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創作活動が人と人を結び、地域の新たな価値を生み出し、課題の解決にまで道を開く。そんな先進的な活動を駆動する各地の文化拠点、そして人々の間をつなぐ役割を担う人たちは、何を目指し、どんなことを行っているのか。特集全体を総括する視点からお話を伺ったのは、文化施設やアート計画のコンサルタントとして活躍し、文化政策の調査研究に携わってきた吉本光宏氏。共有すべき地域の「入会地」という観点から捉える「文化的コモンズ」の考え方、そして全国の先進的事例を通じて、見えてきたのは文化芸術の変わらぬ価値であり、現代社会において地域の文化拠点やアーティストが果たす役割だった。

アートのポテンシャルについては、近年、まちづくり的な視点から、あるいはウェルビーイングなどのキーワードと関連づけて語られています。さまざまな見方があるなかで結論的に述べることはできませんが、私は「未知のものを生み出していく力」という大切な価値がまず根本にあると思います。既成概念に囚われない、誰も見たことがない、新しい時代を切り開くような創造性(クリエイティビティ)。アーティストはそれを新しい作品として表現します。
そうした基本を踏まえたうえで、文化芸術には、社会がまだ生かしきれていないポテンシャル、役割や力があるのではないか――そのひとつが、「異なる分野をつなぎ、境界を乗り越えていく力」です。福祉や教育、文化、産業といった異なる行政政策や社会課題といった面においてもそうですし、複数のコミュニティをつなぐ力もあります。コミュニティというと、日本では地域を思い浮かべる人が多いのですが、「人の集団」を指す言葉でもあります。そして、その人の集団はジェンダーギャップや障がいと歩む人たちの集団の場合もあります。文化芸術は、それら多様な意味でのマイノリティを地域社会とつなげることもできるんです。
もうひとつ、最近は"アートが社会的な課題を解決する"と言われることもある。アートからのアプローチで問題が解決されることがあるとしても、課題の解決のために文化芸術が存在しているわけではありません。むしろ解決より手前で、社会の課題を可視化し「気づきを与える力」のほうが大切ではないでしょうか。

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【特集】文化芸術にできること −人をつなぎ、社会をひらく

人の心に寄り添い、生きる力を育む。 人と人をつなぎ、地域に新たな価値を生み出す。...

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