豊田 尚吾
西村 隆男
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2009年07月01日 |
豊田 尚吾
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住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.89) |
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持続が可能な消費者市民社会のために
豊田 本日は「自立し、共生する生活者に求められるもの」ということでお話をうかがいたいと思っております。先生のご専門の消費者も生活者ですし、暮らしの原資を稼ぐ労働者も生活者、そして市民(シティズン)も生活者です。さまざまな顔を持つ生活者がいて、彼らを取り巻く環境が大きく変化しています。それが現在、持続可能性という点でかなり危機的状況にあるのではないか。そのような状況に対処する視点として「自立と共生」がひとつの重要なキーワードではないかと私たちは考え、今号の特集テーマ設定に至りました。
西村 日本消費者教育学会では、消費者問題を明確に考えていこうとする立場から、供給・生産に対する、需要・消費という意味で「消費者」という言葉を使っています。しかし、今日は生活者としての消費者という視点でお話をしていきたいと思います。「自立と共生」は、我々消費者がこれからの社会でどう生きるかを考えるときには非常に重要なキーワードです。単に個人がどう生活を防衛していくのかだけでなく、グローバルな社会や地球環境のことも見据えつつ、どうやって共生を図っていくべきか。昨年10月にパリでOECDの消費者教育の会議がありましたが、そのひとつのテーマは持続可能な消費を実現するというものでした。その話し合いの中で出てきたのは「コンシューマー・シティズンシップ」という考え方で、消費者市民社会を皆でつくりあげていこう、というものです。環境に対する配慮も必要だし、第三世界に対する正当な支援も必要。そういう観点に立ち、今後はグローバルに見た持続可能な消費を考えていかなければならない。特にEU諸国はそういうことを重視しており、現に学校教育でも扱っています。その意味でまさに、国際的な共生もあり、国内の共生もある、自然との共生もあるということが、今後は重要な概念になってくると受け止めています。