柿野 成美
2009年07月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2009年07月01日 |
柿野 成美 |
住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.89) |
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「平成20年版国民生活白書」から
「平成20年版国民生活白書(第51回)消費者市民社会への展望〜ゆとりと成熟した社会構築に向けて〜」は、白書のテーマとして初めて「消費者」に焦点を当てた。ご承知のとおり、消費者庁設置の議論をめぐり消費者市民社会への転換が謳われており、そのためには消費者教育が重要な役割を果たすものと期待されている。
しかし、教育の重要性が高まっているものの、消費者教育が我が国では十分に行われているとは言えず、これまでの効果も明確に見られていないことを白書は指摘している(※1)。「消費者教育」という言葉は多義的であり、人によって捉え方がさまざまでありうるが、白書の調査によれば、「義務教育に消費者教育が盛り込まれた年齢層でもそうした教育を受けたと認識している人は半数にも満たず、消費者教育を受けたことがあるとする人は全体で1割しかいない」という。また、消費者問題への理解力を調査した結果、「消費者教育を義務教育で受けた層と受けていない層で違いはなく、消費者教育の効果は明確には見られない」ことも明らかとなっている。このような調査結果を受けて、「理解を一層定着させることに加え、次々と生まれる悪質商法に対応するだけでなく、経済社会を変える存在として批判力、判断力が求められ、教育の在り方を検討していく必要がある」とまとめられている。