小野 公一
2009年07月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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媒体(Vol.) |
備考 |
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2009年07月01日 |
小野 公一 |
住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.89) |
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はじめに
私たち生活者は何を求めて働き、そして、生きているのだろうか。高度成長期から低成長期への移り変わりの時期を経験した世代にとって、「ものの豊かさからこころの豊かさへ」などという言葉は非常に懐かしいものがある。
戦後の歴史を見ると、昭和20年代から30年代にかけて、人々は飢えを満たすためにさまざまな食糧を買ったし、衣類などの必需品は、品質はどうであれ生活の最低限の要求を満たすために購入した。それがほぼ充足できた高度成長期のピーク時には、多くの人々が3C(カラーテレビ、クーラー、自動車)を所有するようになり、ある面では持ち物の共通化という面での人並み感も含めて、物質的なニーズの充足を達成し得た。
産業場面でも、高度成長の前期までは、人々は、安全や人間性よりも効率を重視した管理が進み、流れ作業が強化され、長時間労働が蔓延しても、人々は雇用の安定を願い、残業代を前提とした生活ができる賃金の獲得にまい進した。そして、オイルショック前後から、労働の人間化やQWL(労働生活の質的向上)が叫ばれ、民主的なリーダーシップや職務充実など、人間性に配慮した参加や自律性をキーワードとした社会的要求や尊重要求の充足と成長要求に配慮した施策が検討され始めた。