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情報誌CEL

高橋 俊介

2009年07月01日

雇用不安の時代とキャリア形成

作成年月日

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備考

2009年07月01日

高橋 俊介

住まい・生活

ライフスタイル

情報誌CEL (Vol.89)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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重要なのは無意識に習慣化していることの積み重ね

「資格とかけて、足の裏にこびりついたご飯粒と解く。取らないと気になるけれども、取ったからといって食べられない」。これは、キャリアカウンセリングの関係者の間でよく言われるジョークだ。よほど特殊な資格でない限り、それにより長期にわたって仕事を確保できる保証はない。

 また、一時期、雇用されうる能力という意味で、「エンプロイアビリティ(employability)」という言葉がもてはやされた。これからの時代、個々人のエンプロイアビリティを高めることが雇用を保証するということであった。しかし、この言葉によって、スキル(技術)の向上のみに焦点が当てられてしまった面がある。

 もう一つ、キャリアを切り開くためには、具体的な目標をもって懸命にそれを目指すべきだということもよく言われる。だが、私の考えでは、キャリアに長期的な目標を持つことはあまり意味がない。

 その人のキャリアをつくるのは、資格でもスキルでも、また長期的な目標を持つことでもない。私は、その人の「キャリアコンピタンシー」を高めることこそが重要だと主張している。特定の職種において安定的に高い成果を上げる人の特徴が、一般的に言われる「コンピタンシー」の定義だが、キャリアコンピタンシーはそれから派生させて、自分のキャリアを長期に継続的に切り開く行動思考特性(特定の職種での成果ではなく)という、私がつくった造語である。

 変化が激しく先が読めない時代には、個人が自分の将来像を明確に描くことは不可能だ。今ある企業が将来も存続するかはわからないし、ビジネスモデルが大きく変わってしまうこともある。個人の側の状況においても変化が激しい。したがって、キャリアの構築は、なかなか個人の予定通りにはいかない。

 そうであるならば、自分にとってのより好ましい変化を仕掛けながら、同時に変化に備える能力を養成する。そのような行動や思考の習慣化こそが、今のような時代においてはいっそう重要視されるべきなのだ。日々無意識に習慣化してやっていることの積み重ねが、その人のキャリアをつくり上げていくのである。

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