弘本 由香里
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2009年07月01日 |
弘本 由香里
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都市・コミュニティ |
都市居住 |
情報誌CEL (Vol.89) |
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はじめに
少子高齢化やグローバル化が進む中、まちの暮らしを持続的に支えていく新たな仕組みづくりが求められ、地域資源を活かしてコミュニティの力を育んでいくまちづくりが各地で模索されている。いわゆる、ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)の価値を見直し、暮らしの中に再度組み込んでいこうとする動きである。しかし、個人化や多様化が進む現代の暮らしの中で、人と人や人と場所の関係を再構築していくためには、従来の枠組みを超えるまなざしや知恵が欠かせない。そこで、地域資源から発想する、新たなつながりのデザインのありようが求められることとなる。
当連載がフィールドとしている大阪の都心部・上町台地界隈は、これまでも繰り返し紹介してきたが、多くの長屋が残るまちや寺々が軒を連ねるまち、民族的マイノリティが集住するまち、時を重ねたコミュニティに新しいマンション群が生まれたまちなど多様なエリアの存在と地域資源の集積がある。その集積を基盤として活かしながら人々の交流を促し、新たなつながりを築きあげていく試みとして取り組んでいるのが、当連載第12話以降で紹介している大阪ガス実験集合住宅NEXT 21での、地域コミュニケーションデザイン実験「U-CoRoプロジェクト」(※1)である。建物一階の小スペースのガラスウォール(ウィンドウ)を活用した、展示プログラム等の展開を通して、地域で活動する多様な主体や地域資源間のネットワークの補完と拡張に働きかける、まちかどのミクロな社会実験として、コミュニティ・エンパワーメントの可能性を追っている。