大坪 明
2009年03月19日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2009年03月19日 |
大坪 明 |
住まい・生活 |
住宅 |
情報誌CEL (Vol.88) |
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関西の団地再生の動向
高度経済成長期に建設された集合住宅団地やニュータウンが、40年以上経過した現在、様々な課題を抱えてきている。それは一昨年辺りからマスコミに取り上げられ、世間の関心を惹くようになった。各地の住宅団地は、以前から住環境を改善するエレベーター(EV)設置や1室増築等に取り組んでいた。しかし課題は多岐に渡り、物理的対応だけでなく、生活改善の総合的対策が必要だ。関西の団地・ニュータウンの再生動向を大まかに把握するために、40年以上経過した主な団地やニュータウンの動向を次ページ表1にまとめてみた。
千里ニュータウン(NT.)をはじめ利便性の高い立地では、デベロッパーによる等価交換方式の建替および管理主体による高密度化建替が盛んだ。都市機構による建替団地では、基準より低い従前容積の2倍程度で建替が完了しているが、余剰地に建設される民間分譲団地では、基準容積を目一杯使うことが当然であり、従前密度との違いが極めて大きくなっている。余剰容積を活用する高密度化建替では、新住民の流入により世代ミックスが促進される面もあるが、高層化による視線遮蔽や圧迫感増大など、地域環境が大きく変化している。いずれにせよ団地の再生手法は、基本的にはスクラップ&ビルドが主体となっていると言える。
しかし、都市機構が2007年12月に出した賃貸住宅団地のストック活用方針(※1)によると、60年代後半以降の団地はストック活用が大半になる。また、大阪府営住宅に関して2007年1月に「ストック総合活用計画」が策定され、建替・改善(耐震改修、バリアフリー化等)の方針が打ち出された。
一方、関西の代表的大規模団地の一つである泉北NT.では、再生に向けた方向性の検討が始まった。民間デベロッパーによる建替が進む様な立地ではなく、地域資源を活用した再生が模索されている。