濱 惠介
作成年月日 |
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2009年03月19日 |
濱 惠介
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住まい・生活 |
住宅 |
情報誌CEL (Vol.88) |
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サステイナブル(持続可能)の核となる意味を筆者なりの言葉で表現すれば、「自分たちのだけでなく未来世代の生存や充足を保証し永続的かつ共通の利益が守られる(こと)」となる。その概念は、生存の前提である環境の持続性が特に重視されることに加え、人々のつながり方を見る社会的持続可能性、お金の流れから捉える経済的持続可能性など切り口を変えてみることで、より明確になる。
ここで論じる「団地」の対象は、日本経済が急速に発展し、人口の都市集中と住宅建設が最も活発に行われた昭和40年代に大量に建設された公的な郊外住宅団地で、その典型的な建物は5階建て共同住宅である。
建設から40年前後が過ぎ、住宅需要の変化や充足につれて、団地は現在の居住ニーズに適しなくなってきた。建物の機能的劣化のみならず、住み手の高齢化、単身世帯の増加、子育ての環境としての不適合など、問題点は多岐にわたっている。しかし、ハード・ソフト両面から期待されている「団地再生」は、いまだ本格的な事業化に至っていない。
筆者は昭和40年代の中ごろ、日本住宅公団で団地のマスタープラン作成を担当し、その後も長く住宅・団地づくりに携わった。当時建設された団地の現状に責任の一端を感じると同時に、その改善・再生には深い関心がある。この稿は、環境的及び社会的な持続可能性を主眼としながら、より好ましい形に団地を再生させる現実的な方策の考察と提案である