野田 岳仁
2009年01月08日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2009年01月08日 |
野田 岳仁 |
エネルギー・環境 |
地球環境 |
情報誌CEL (Vol.87) |
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「孫が水を大切にして、と言えば、私は必ず耳を貸します」
エジプトのアブザイド水資源灌漑大臣が洗車の際に、孫から「水がもったいない」と注意を受けたというエピソードでの言葉です。子どもや若者は潜在的に“伝える力”を持っていることを示しています。
冒頭の言葉は、50カ国から若者を集めた「ユース世界水フォーラム」(2003年、第3回世界水フォーラム、主会場は京都市)のオランダ皇太子や各国大臣ら政策決定者を招いたダイアログでのやりとりです。さらに私は、彼らに生活者として普段の暮らしで実践していることを尋ねました。しかし、誰からも明確な返答はありませんでした。世代や立場にかかわらず、すべての人に日々、生活があります。それでも、水問題解決につながる行動はなかなか実践できないのです。一方、私たちは、水筒を持ち歩く「マイボトルキャンペーン」を展開しました。水筒には京都の神社やお寺、お豆腐屋さんの湧き水を入れ、その文化的ストーリーをセットで持ち歩きました。ささやかなことですが、具体性と大衆性を軸に、楽しみの要素を加えた私たちの活動手法は多くの共感を集めました。生活者の視点から実践できることを共有し、提案していくことは大きな意味がありそうです。
私たちは、生活者として「水を生かす暮らし」、「水を生かす政策」を提言し続けています。「水を使うことは汚すこと」と認識し、できるだけ汚す水の量を減らすように心がけましょう。特に雨の日は都市部の合流式下水道で未処理のままの汚水が川に流れ出すことがあり、洗濯などを避けることも現代生活の工夫です。節水を続けることは、水源の取水量を減らし、川の水量を増やし、生物が増えることにつながり、川で生きものを探す子どもたちの姿を生み出します。節水は川の魅力をつくり、愛着を生み出すことができるのです。