橋爪 紳也
2009年01月08日作成年月日 |
執筆者名 |
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2009年01月08日 |
橋爪 紳也 |
エネルギー・環境 |
地球環境 |
情報誌CEL (Vol.87) |
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マドリッドとバルセロナとの中間に位置するアラゴン州都サラゴサ(Zaragoza)は、65万人が居住するスペイン第5の都市である。2008年6月14日から9月14日までの93日間、この地で国際博覧会が開催された。
主題は「水と持続可能な開発(Water and Sustainable Development)」。人類の生存に欠かせない「水」との新たな関係を構築する必要性を地球規模で考える枠組みを創造することを目的としている。国際博覧会条約に基づく認定博覧会では、2005年日本国際博覧会(愛・地球博)に続き、2010年の上海世界博覧会にバトンを渡すものだ。106の国と企業、NGOなどが参加、140の出展と延べ数約5000ものショーや催しで会場は連日賑わい、来場者数は約560万人(速報値)に達した。
サラゴサは歴史都市として知られている。しかし世界遺産の教会もある旧市街地からエブロ川を挟んだ対岸の地域は、流路が蛇行していることから洪水時には浸水することもあり、低利用のままになっていた。今回の博覧会開催に際して、この河川敷一帯、おおよそ120haを自生植物の保護を図る親水公園として整備する方針が示された。東京ドーム25個を収容できるほど広大なものだ。
この公園に隣接した25haが博覧会の主会場である。人工地盤の上に湾曲した平面が印象的な展示館群を建設、加えて河川敷にも催事場やパビリオンが仮設された。スペイン政府館やコンベンション施設は当初から恒久施設として構想された。展示館はイベント終了後も再利用、業務地区に整備する。会場計画のありようからも、自然環境と開発行為との調和を図ろうとする博覧会の意図を読み取ることができる。