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情報誌CEL

京 雅也

2009年01月08日

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2009年01月08日

京 雅也

エネルギー・環境

地球環境

情報誌CEL (Vol.87)

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本号論考で、小泉和子さんは、水に困った昔のことを思い出しながら、「ポンプ井戸だったが、ごっきんごっきんと漕ぐと、ざーざーときれいな水が溢れ出す。涙が出るほど嬉しかった」と述懐されている。水が豊かであると言われている日本でも、各家庭の、それも台所や風呂、手洗いにまで水道がつながったのは、そんなに遠い昔のことではない。

 私が子どものころは、既に水道の恩恵を受けていたが、まだ近所に井戸もあった。手押しポンプから出る水も、はじけてキラキラ輝いていたのを覚えている。地下から湧く水は、夏は冷たく、冬はほんのり温かだった。かつては、野外で水に触れることも多かったように思う。小学校の校庭の横には水飲み場があり、短い休み時間に目一杯遊んで、教室に戻る前に蛇口に口をつけて水道の水をそのまま飲んだ。

 以前、東南アジアのある国を訪れたとき、ホテルの水でも決してそのまま飲まないようにと注意された。その水が不衛生だということでなく、水が合わない場合があるからだが、そんなときに、日本での普段の暮らしの中で、飲めるくらいのきれいな水をずいぶん気ままに使っていることに気づく。一方で、世界には良質の水を得ることが困難な人たちが何億人もいるという。その人たちにとって、蛇口をひねると水が出る、それはまるで夢のようなことだろう。

 私たち日本人は、幸いなことに、あまり水がないことを体験しないで生活してきている。水は普通にそこにある。川の水も地下の水も、使っても使わなくてもただ流れていくように思える。だったら、節水などせずに、あるものはどんどん使えばいい? ところが、蛇口から出る水にはコストがかかっている。CELの濱研究主幹が論じているように、実は水はエネルギーの塊でもある。その意味で、できるだけ無駄には水を使わないことが省エネにつながる。さらに、水を使うということは、水に汚れを持っていってもらうことでもある。汚した水を自然のサイクルに戻すためにも多くのエネルギーが必要になる。だから、なによりも水を汚さないことが重要だろう。

 

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