山下 満智子
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
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2008年06月30日 |
山下 満智子
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住まい・生活 |
食生活 |
情報誌CEL (Vol.85) |
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はじめに
オーストラリアの干ばつによる小麦の不作や、飼料用トウモロコシのバイオ燃料との競合、急速に経済力をつけた中国の穀物市場への影響などによる穀物価格の高騰が続き、身近な食料品の値上げが続く。食糧争奪などの言葉も日常的に目にするようになった。世界市場での食料をめぐる状況は、平成一七年の「食育基本法」施行当時と比べて短期間で大きく変化した。食料問題は同法成立の背景となる重要な問題の一つではあったが、これほど早く顕在化してくるとは、考えられていなかったのではないだろうか。
一方、食の外部化や飽食、食の洋風化による生活習慣病の増加、食における家庭の教育力の低下などの問題も相変わらず深刻な状況であることに変わりはない。
また、後を絶たない食品表示の偽装や中国産冷凍餃子の事件、米国からの輸入牛肉にBSE(牛海綿状脳症)の危険部位が混入されていたことが再び明らかになるなど、相も変わらず、食の安全・安心を揺るがす事件も続いている。
食育基本法施行が、日本の食のさまざまな問題を議論する契機となったことは間違いないが、グローバルで外部化した食について、国や公共団体、教育関係者や個人で解決できることには限りがある。食育基本法を契機に、グローバルな、そしてローカルな食をめぐる課題の解決の道を探るには、さらに企業やNPOなど民間団体の積極的な取り組みが不可欠であると考えられる。
食育を一過性のものとせず、食育活動の裾野を広げるためには、食関連企業がビジネスとして食育に取り組み、さらに多様な企業が社会貢献活動や環境貢献活動として食育に取り組むことを促進する必要があるのではないだろうか。
はじめに
オーストラリアの干ばつによる小麦の不作や、飼料用トウモロコシのバイオ燃料との競合、急速に経済力をつけた中国の穀物市場への影響などによる穀物価格の高騰が続き、身近な食料品の値上げが続く。食糧争奪などの言葉も日常的に目にするようになった。世界市場での食料をめぐる状況は、平成一七年の「食育基本法」施行当時と比べて短期間で大きく変化した。食料問題は同法成立の背景となる重要な問題の一つではあったが、これほど早く顕在化してくるとは、考えられていなかったのではないだろうか。
一方、食の外部化や飽食、食の洋風化による生活習慣病の増加、食における家庭の教育力の低下などの問題も相変わらず深刻な状況であることに変わりはない。
また、後を絶たない食品表示の偽装や中国産冷凍餃子の事件、米国からの輸入牛肉にBSE(牛海綿状脳症)の危険部位が混入されていたことが再び明らかになるなど、相も変わらず、食の安全・安心を揺るがす事件も続いている。
食育基本法施行が、日本の食のさまざまな問題を議論する契機となったことは間違いないが、グローバルで外部化した食について、国や公共団体、教育関係者や個人で解決できることには限りがある。食育基本法を契機に、グローバルな、そしてローカルな食をめぐる課題の解決の道を探るには、さらに企業やNPOなど民間団体の積極的な取り組みが不可欠であると考えられる。
食育を一過性のものとせず、食育活動の裾野を広げるためには、食関連企業がビジネスとして食育に取り組み、さらに多様な企業が社会貢献活動や環境貢献活動として食育に取り組むことを促進する必要があるのではないだろうか。