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情報誌CEL

北川 フラム

2008年03月21日

アートで開かれ変容するパブリックスペース

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2008年03月21日

北川 フラム

都市・コミュニティ

都市システム・構造

情報誌CEL (Vol.84)

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ファーレ立川のパブリックアート

昨年秋、東京都下の立川市でパブリックアート展開のうえで画期的な会が催された。一九九四年に立川駅北口に誕生した「ファーレ立川」という五・九haの業務地区にある一〇四点のアート作品を維持・管理するために、立川市と立川市商工会議所、この地区のビル会社、そしてボランティア・ガイド・チーム「ファーレ倶楽部」がつくった「ファーレ立川アート再生委員会」の発会式である。

 このように多様なレベルの組織がパブリックアートを維持するための仕組みをつくったのは世界的にも珍しい。それだけではなく立川市は、美術館という「箱」の建設を目指さず、「街全体を美術館に!」というコンセプトのもと、今後、この地域に建設される公共の建物、企業の建物にパブリックアートの導入を誘導していくというのだ。ちなみに、先ほどあげた「ファーレ倶楽部」は一〇年にわたってアートのガイドを行い、清掃やワークショップをやってきたご婦人中心のボランティアグループである。

ファーレ立川のパブリックアートは、それまで美術館の展示の延長線上にあった屋外の彫刻作品や、施設利用者の最大公約数にあわせたデザイン的な立体作品が中心だったパブリックアートの考え方を変えたものとして評価され、二〇〇三年にイギリスはブリストルで開催された世界都市計画学会での基調報告のテーマにもなっている。都市はそこの成員プラス訪れる人、その中の建造物や活動を含めた「るつぼ」であり、その重要な構成要素でもあるアートも、人間の化身として多種多様でありたい、という考え方は、それまでのオブジェ的モニュメント志向とは全く違う考え方で、ファーレ立川のアートプロジェクトはパブリックアートの世界的潮流の源泉となっているようだ。

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