百万遍さんの手づくり市
2008年03月21日作成年月日 |
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2008年03月21日 |
百万遍さんの手づくり市 |
都市・コミュニティ |
都市システム・構造 |
情報誌CEL (Vol.84) |
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心がこもった作品が交流と信頼を生み出す
京都大学の本部構内から道一つ隔てた北側にある知恩寺(大本山百萬遍知恩寺)は、浄土宗の七大本山の一つだが、平日は、近所の人が犬を散歩させたりできる静かで穏やかな寺だ。ところがここが毎月一五日になると、時にはわざわざ観光バスでやってくる人たちもいるほどの賑わいを見せる。いまや京都の名物とまで言われるようになったフリーマーケットの「手づくり市」が開催されるからだ。
当日の境内では、奥まった御影堂前を中心に約五〇〇もの店がビッシリ並び、出展者がそれぞれ手づくりした品々を並べる。午前九時頃から午後四時まで市は開催されるが、早朝から大勢の客が待つほどで、最盛期には人がすれ違うのも大変なほど混み合う。それもそのはず、一日に訪れる客は、老若男女合わせて約一万人にものぼり、京阪電鉄「出町柳」駅から続く道も普段の百万遍では考えられないほど混雑する。
「私の妻が服を手づくりしているのですが、そもそもは、その販売場所を求めて、一九八六年に友人の臼井郁司さんご夫婦と企画を考え、青空個展会場としてはじめたのが、もう二五〇回を超えました」と、主催者のひとり榎本潔さんは説明する。
まだフリーマーケットという言葉が一般に知られていない頃から、『心がこもった手づくりの品でないと出展できない』と謳ってきたコンセプトは、いまだに守られている。