高田 光雄
2008年03月21日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2008年03月21日 |
高田 光雄 |
都市・コミュニティ |
都市システム・構造 |
情報誌CEL (Vol.84) |
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二〇〇七年九月一日、京都市ではいわゆる「新景観政策」が施行された。ここで言う新景観施策とは、二〇〇七年三月一三日の京都市市議会において全会一致で可決された六つの条例と予算措置を伴う支援制度をさす。これらは、長年にわたる京都における景観政策の蓄積や、二〇〇五年六月に全面施行された国の景観法を基礎として、二〇〇六年七月に設置された「時を超え光り輝く京都の景観づくり審議会」の答申、および、その後に寄せられた市民や事業者、専門家などの意見、さらには、議会などでの審議をふまえて策定されたもので、通常、「五つの柱と支援策」として説明されている。
第一の柱は、市街地全域での建築物の高さ規制の見直しである。京都の盆地景に配慮し、都心部から三方の山裾に行くにしたがって、次第に建物の高さが低くなるよう、市街化区域全域で高度地区の高さの規定が見直された。高さの規定は、10m、12m、15m、20m、25m、31mの六段階となり、結果として三割以上の地域で規制が強化された。例えば、都心部においては、幹線道路沿道地区で45mから31mに、幹線道路に囲まれたアンコの部分、すなわち、京町家などによる歴史的町並みが残る職住共存地区で31mから15mに高さ規制が引き下げられた。一方、良好な市街地環境や町並み景観に寄与する建築計画、都市機能の整備を図る建築計画などについては、「景観審査会」の審議を経て高さの規定を超えることを特例として認める「景観誘導型許可制度」が創設された。
第二の柱は、建物のデザイン基準の見直しである。風致地区や景観法に基づく景観地区、景観計画区域などの指定区域が拡大され、地区特性をふまえたデザイン基準が策定された。景観地区(美観地区、美観形成地区)と景観計画区域(建造物修景地区)については、新たな類型化と類型ごとのデザイン基準の策定が試みられた。すなわち、第一種から第五種までの従来の美観地区が、山ろく型、山並み背景型、岸辺型、旧市街地型、歴史遺産型、沿道型の六つの美観地区と、市街地型並びに沿道型の二つの美観形成地区に、第一種と第二種の従来の建造物修景地区が、山ろく型、岸辺型、山並み型、町並み型の四つの建造物修景地区に再編され、それぞれについて、屋根や外壁などのデザインに関する基準が定められた。