濱 惠介
竹村 真一、清水 英範
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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媒体(Vol.) |
備考 |
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2008年01月10日 |
濱 惠介
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エネルギー・環境 |
地球環境 |
情報誌CEL (Vol.83) |
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地球全体を見えるようにしていくことが役割
濱 竹村先生は長年にわたって、地球環境問題への対処について独自の環境活動を行ってこられたとうかがっていますが、まずそのことからお話ねがえませんか。
竹村 愛・地球博で「触れる地球」(※1)という世界初のデジタル地球儀を提案しました。この地球儀は、子どもたちが生きた地球の姿を体感できるような仕組みが必要だと感じて開発したものです。地球温暖化とか環境問題と言っても、どうしても抽象的で、自分の等身大の想像力を超えた地球の問題はなかなか実感できません。そこで、少しでもそれを感じることができるような形で、リアルタイムの雲の動きとか、昼と夜の境界線とか、地球温暖化が今後の数十年でどう移行していくのかというようなことを目に見えるようにしたいと考えてつくっものです。東京大手町の「大手町カフェ」(※2)や新丸ビルの環境ミュージアム「エコッツェリア」にも常設しています。
清水 「触れる地球」については、いろいろな媒体で拝見し、子どもだけでなく大人も興味深く接していて、地球環境問題への関心をうまく喚起するものだと感じましたが、竹村先生が、そうした活動をされるきっかけは、どのようなものだったのでしょうか。
竹村 原点は、私自身が二〇代の後半に、アマゾンなど地球のさまざまな先住民の住む場所で人類学のフィールドワークをしたことです。文明以前の生活に出会えることを期待して行ったのですが、実際には、すでに文明の影響は相当行き渡っていました。たとえば焼き畑でも、先住民がやっているような伝統的なやり方でやれば、むしろ熱帯林を再活性化するエコロジカルな農法だということは実証されているのですが、多くの場所でそういう営みを捨てて農薬を使う近代的な農業が行われていました。しかも、使っているのは日本の農薬で、日本の真似をしようとしている。また日本で消費される木材やパルプのために、伐採によって森林破壊に加担する人も多かった。つまり日本がやっていることが全世界に影響を与えているわけです。ですから、「日本も早く一皮剥けて次のサスティナブルな社会のモデルを世界に提示していかないと地球は大変なことになる」と感じました。その頃から環境活動に手を染めるようになったわけです。