濱 惠介
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
2008年01月10日 |
濱 惠介
|
エネルギー・環境 |
地球環境 |
情報誌CEL (Vol.83) |
ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。
背景・基本方針
地球温暖化防止のために長期的に必要な温室効果ガスの排出量削減は、七五%とも八二%とも言われる(※1)。京都議定書の約束である温室効果ガス六%削減さえ悲観的な状況下、この数値は非現実的と見られるかもしれない。しかし、気温の上昇をそれぞれ三・五℃または二・五℃に抑えるためには長期的に必要な水準であり、先端的な省エネ住宅においてはこれを目標とすることは自然なことである。
温室効果ガスの大部分は二酸化炭素(CO2)で、その主因はエネルギー消費にある。この問題に対処し有効な解決策を見出すため、住宅・生活におけるエネルギー消費を可能な限り削減し、再生可能エネルギーの活用を含めエネルギー消費による環境負荷を四分の一程度に減らす試みが、大阪ガスのNEXT21(※2)の三〇一住戸で行われている。本稿では、この目的に沿って実施した住宅改修の概要を紹介する。
具体的な方法は、?建築的な熱環境改善(冷暖房負荷の低減)、?設備機器の効率改善と新システム導入、?太陽エネルギー利用、及び?居住者のライフスタイル見直しによる省エネ化である。現時点で実用可能な技術・手法のほとんどを検討対象とした。
三〇一住戸は、当初「ガーデンハウス」として設計され、緑を住戸内にも取り込み自然の通風を生かすなど自然環境との共生を意図したものであった。今回は、その趣旨を尊重しながら、「豊かさを二倍に、資源を半分に」という趣旨のワイツゼッカー他の著作「FACTOR4」になぞらえ、「ファクター4の家」と呼び名を改めた。