鈴木 征男
2007年09月30日作成年月日 |
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2007年09月30日 |
鈴木 征男 |
住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.82) |
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「二〇〇七年問題」は遅れる?
今年は、日本の高度成長期を支えてきた昭和二〇年代初期生まれの、いわゆる「団塊の世代」の退職がはじまる年であることから、マスコミなどでは「二〇〇七年問題」と名付けて、いろいろと問題視してきました。私も、高齢者問題の研究を手がけてきた関係から、サラリーマンの退職後の社会的活動についてのアンケート調査などをもとに、リタイア後の社会的活動を促進させるためには社会的準備行動が重要であるとの報告を、第一生命経済研究所が出している「ライフデザインレポート」一八一号(二〇〇七年九・一〇月号)で発表したりしています。
しかし、二〇〇七年も半ばを過ぎた現在、周囲を見回したところ、退職者が街に溢れているかというと、決してそんなことはありません。それは何故なのか?
国立社会保障・人口問題研究所では二〇〇五年から、五年刻みの労働力率を推計しており、それを元に図1を作成しましたが、見ていただくと分かるように、六〇歳定年直後の労働力率となる六〇〜六四歳は、二〇〇〇年時点では七一・六%だったものが、二〇一〇年では八〇・〇%と八・四ポイントも上昇すると推計されています。これはつまり、六〇歳で定年退職した男性が、退職後も続けて働くだろうことを示しているわけです。それは、六〇歳代前半の高齢者の非労働力人口、すなわち仕事をしない人たちの数を推計した図2でも明らかであり、男性に限れば、二〇〇五年よりも二〇一〇年の方が、むしろ無職の人は減少すると予測されています。この事実の背景には、平成一八年四月一日に施行された「改正高年齢者雇用安定法」と、最近の世界的な好景気があることは間違いありません。