川島 隆太
2007年06月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2007年06月30日 |
川島 隆太 |
エネルギー・環境 |
食生活 |
情報誌CEL (Vol.81) |
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子どもたちの生きる力の源泉が前頭前野にある
私たちの脳は不思議な性質を持っています。だからこそ、私たちはきちんと脳とは何かを知った上で、自分自身のことを深く考えていくべきなのではないでしょうか。これが私たち脳の学者の根底にある思想です。
私たちが社会と関わろうと思ったときに、人間の脳の中でも、特に一箇所の働きに注目をします。それが大脳の一番前にある前頭葉のほとんどの部分を占めている前頭前野と呼ばれている脳で、私たちのおでこのすぐ後ろにあります。
我々人間の脳とその他の動物の脳を比べてみますと、私たち人間の脳の前頭前野だけが、特別大きく発達しています。「人間て何だろう?」。この哲学的な問いの答えは、脳から考えるとすごく簡単なのです。前頭前野が発達している動が人間であるというふうに、一言で言うことができます。しかし、人間だけが持つ特別に大きくなった前頭前野がどういう働きをしているのかは、実は今までよく分かっていませんでした。二〇年位前までは、前頭前野は何もしていないと信じていた脳心理学の医者もたくさんいました。しかし、実はそうではないことが、最近はっきりと分かってきました。
前頭前野の脳の働きというのは、子どもたちを健全に育む、子どもたちの生きる力ということを考えたときに、まさにその生きる力の源泉がこの前頭前野の能力であるということが次第に分かってきました。それから我々が加齢によって失ってしまうもの、家族と一緒に楽しく暮らせなくなる理由というものも、実はこの前頭前野の働きが低下することが主な原因であると分かってきました。