細野 助博
2007年03月30日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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媒体(Vol.) |
備考 |
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2007年03月30日 |
細野 助博 |
住まい・生活 |
地域活性化 |
情報誌CEL (Vol.80) |
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はじめに
以前、大分の空港で注文して、味の良さと目が飛び出るくらいの請求額にびっくりした「関さば、関あじ」。金沢一のホテルロビーで、早朝獲れた「加賀野菜」の屋台に興味深く見入る外国人たち。「神戸ビーフ」と、外国人でも知っている牛肉もさることながら、松坂牛、前沢牛、米沢牛など、各地の名前をつけた一級品のブランド牛肉。それに外国の友人たちが離日前に必ず行きたいという観光地「KYOTO」。若い女の子がつれだって散策する雲海漂う春の「湯布院」。まだまだある。これらは地域が丹精こめて年月を重ねて作り出した「地域ブランド」だ。
ブランドは企業が人と資金と時間をかけて作り出し、そして「維持する」努力を不断に続けている「価値創造」の手段だ。ルイ・ヴィトンのモノグラムは、印刷の出来映えや使用されている材質から、一見してそれと偽物が区別される。定着したブランドはどれも存在感を主張し、それにふさわしい値段づけを要求する。 ブランド戦略と地域活性化を結び付けようとする「地域団体商標制度」が二〇〇六年四月の改正商標法の施行を待って設けられた。内閣府に設置された知的財産戦略本部の〇六年度計画には、?魅力ある地域ブランドづくり、そのために地域団体商標制度の活用、顕彰制度やアドバイザー派遣により優秀なブランドづくり、情報発信による市場拡大、?地域ブランドに対するユーザーの信頼確保などがあげられている。さらに、自治体による独自の認証制度などもあり、信頼性の向上を図る仕組みが各地で整いつつある。これらの公的部門による支援施策を前提に、いよいよ地域ブランド戦略が各地で動き出そうとしている。 ここでは事例を入れながら、「ブランド戦略」と、その素材としての地域資源と人材に焦点を当て、「まちづくり」を成功させるブランド戦略について検討する。