中上 英俊
2007年01月31日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2007年01月31日 |
中上 英俊 |
エネルギー・環境 |
エネルギー・ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.79) |
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はじめに
わが国の家庭用エネルギー需要は、戦後一貫して増加基調で推移してきた。京都議定書の目標年がスタートする二〇〇八年を目前に控え、家庭部門は、同じ民生部門の業務部門や車等の運輸部門と並んで、その増加が著しいこともあり、温暖化ガス削減の重点部門と指摘されているところである。家庭部門のエネルギー消費の増加は、?一世帯あたりのエネルギー需要の増加(家庭用エネルギー消費原単位の増加)と、?世帯数の増加の両者が
相まって推移してきたことによっている。前者は、家庭でのエネルギー利用による様々な利便性や快適性の向上に起因することは論をまたない。後者の世帯数の増加は、戦後一貫して世帯分離が進行し、多世代同居世帯からいわゆる核家族世帯の増加により世帯数の増加傾向が続いていることによる。さらに近年では、高齢者世帯のみならず若年世代においても単身世帯が増加する傾向にある。一方で、二〇〇五年を境に、わが国の人口は減少局面に入ったことは周知のとおりである。したがって、いずれ家庭用エネルギー需要も増加基調から減少へと転ずるものと予想される。本稿では、世帯あたりのエネルギー消費の動向、すなわち家庭用エネルギー消費原単位に焦点を当てて、その需給の動向と将来展望を試みてみたい。
家庭用エネルギー消費の動向
わが国の家庭用エネルギー消費原単位は、一九七〇年では二六六一七MJ(メガジュール)/世帯・年であったが、二〇〇〇年には一・八倍の四七七六七MJ/世帯・年に増加している。この三〇年間の年平均伸び率は、二・〇パーセントであった(図1、図2参照)。 エネルギー種別消費量を見ると、電気は三・五倍(年平均伸び率 :四・二パーセント)、都市ガスは二・一倍(同:二・五パーセント)、LPGは二・〇倍(同 :二・三パーセント)、灯油は一・五倍(同 :一・三パーセント)に、それぞれ増加している。