山下 ゆかり
2007年01月31日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
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2007年01月31日 |
山下 ゆかり |
エネルギー・環境 |
エネルギー・ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.79) |
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はじめに
今後一〇〇年間のエネルギー分野における技術戦略を考えるために、将来のライフスタイルについて考えて欲しいという依頼を受けたのは二〇〇五年春のことであった(※1)。筆者に依頼が来た経緯は定かではないが、エネルギー経済分析の仕事をしている女性として、生活者の立場からであれば遠い将来のことも想像しやすいとでも思われたのかもしれない。大胆にも引き受けたものの、普段からライフスタイル分析を研究課題としているわけではなく、世の中に直接関係する手がかりが溢れているわけでもない。また、そもそもライフスタイルというものは、各個人が選択するものであって、現時点の平均像ですら簡単に描けるものではない。従って一〇〇年という長いスパンで日本国民のライフスタイルを描くなどという「オコガマシイ」ことは不可能である。しかし、面白いと思って引き受けたのは、経済が成熟しつつある日本において、資源制約と環境制約に直面する次世代のエネルギー効率利用を実現するには、これまでのような企業まかせは、既に限界に達しており、家庭におけるエネルギー利用の在り方も含めて、各個人が消費者として、生活者としてきちんと考える拠り所となるような情報を発信しなければいけないという問題意識からであった。研究会に参加するメーカーやエネルギー企業、官庁等の技術者・研究者の方々が技術戦略を描く手がかりになるようなお話をしようと思い立ち、当時入手可能であったさまざまな将来予測の資料や、地球の未来、人間の未来に関して問題だと警鐘を鳴らしているデータに目をとおし、未来学者や都市問題研究者などに話を聞くことから作業を始めた。ライフスタイルというものは各個人が自発的に自由に決めるものの、ある程度は経済や社会の枠に規定される範囲内で選ばれるだろうと考えたからである。