岩船 由美子
2007年01月31日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
カテゴリー |
媒体(Vol.) |
備考 |
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2007年01月31日 |
岩船 由美子 |
エネルギー・環境 |
エネルギー・ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.79) |
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はじめに
世界の国々における家庭用エネルギー消費の構造は、気候風土や生活水準、ライフスタイルに応じて大きく異なっている。今後エネルギー消費が増加すると考えられる途上国も含めて、将来的に世界の家庭用のエネルギー消費はどこまで増加し、エネルギー充足水準はどこまで伸びるのか、また省エネルギーの余地はどこにあるのか、という点について検討するためには、過去から現在に至る各国のライフスタイルの現状やエネルギー消費構造を把握することが重要である。そこで筆者らは、各国の家庭用エネルギー消費の状況やエネルギー消費に関連する世帯属性やライフスタイルについて調査を実施した。調査対象国はアメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スウェーデン、デンマーク、日本である。
調査結果
《家庭用エネルギー消費》
家庭部門における世帯当たりエネルギー消費量の経年変化を図1に示す。増加傾向にあるのはドイツ、イタリア、日本であり、そのうち一九九〇年比で最も増加率が大きいのが日本の一二パーセント(二〇〇二年)である。アメリカ、カナダ、スウェーデン、デンマークでは減少傾向にある。各国の二〇〇一年における自動車用の燃料を含めた燃料種別世帯当たりエネルギー消費量を図2に示す。各国とも自動車燃料の消費量が大きく、EU以外の国々では、自動車を含めるとエネルギー消費量が倍になる。フランスやイタリア、ドイツ等ではディーゼルエンジン自動車の普及率が高く、軽油の比率が高くなっている。LPG車が比較的多いのはオーストラリア、イタリアである。自動車を除くエネルギー消費量は、カナダが一一二GJ(ギガジュール)/世帯・年と最も大きく、次にアメリカが一〇一GJ/世帯・年となっている。イギリス、スウェーデン、デンマーク、フランス、ドイツが七〇〜八〇GJ/世帯・年台に分布し、EU諸国の中では温暖なイタリアの消費量が他の国に比べ小さく、ほぼオーストラリアと同じ程度になっている。日本は
一〇カ国中で最もエネルギー消費量が少ない。