内田 二郎
2007年01月31日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2007年01月31日 |
内田 二郎 |
エネルギー・環境 |
エネルギー・ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.79) |
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マイクログリッドの登場の経緯と背景
地域における小規模電力網である「マイクログリッド(※1)」のコンセプトは米国で誕生した。米国におけるマイクログリッドの登場は、電力信頼性問題が背景にあり、このほか電力自由化に伴い、大規模設備投資のリスクを分散型電源の活用により軽減することのニーズもある。欧州でもEUの下で、2003年1月からMICROGRIDSプロジェクトが開始された。このプロジェクトは、欧州の二酸化炭素排出削減のため、欧州で急速に成長する風力発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入促進を第一の目的としている。
我が国におけるマイクログリッドの意義
(1)社会にとっての意義
?環境調和性
マイクログリッドは、再生可能電源の出力変動を他の分散型電源や電力貯蔵装置や制御装置によって吸収し、需要家に対する安定的な電力供給を可能にする。このことにより、環境に優しい再生可能電源の普及促進に貢献しうる。
?地域活性化
地域資源である再生可能エネルギーを活用したマイクログリッドは、エネルギーの生産から配送、小売りまでを地域自らが発案・計画・実行する「地域エネルギー需給プロジェクト」として、地域の人材、技術、産業、コミュニティーを活性化しうるパワーを秘めている。
(2)需要家にとっての意義・用途
?電力品質の向上 我が国のインターネット・データセンター(iDC)等のIT系企業、半導体工場、病院、研究機関等において、高品質電力に対するニーズがある。
?エネルギーコストの低減 コージェネレーションの導入による高効率なエネルギー利用、受電電力容量の削減等によりエネルギーコストを低減できる可能性がある。
(3)電力系統にとっての意義
?再生可能電源の系統連系許容量の拡大 マイクログリッドは、再生可能電源の出力変動を、他の安定的な分散型電源や制御装置や電力貯蔵装置と組み合わせることにより吸収できる。このような出力安定は、再生可能電源の系統連系許容量の拡大につながる。
?分散型電源の系統に対する悪影響の緩和、および系統へのアンシラリーサービス(※2)の提供
分散型電源は系統連系および自家消費のために、パワーエレクトロニクス素子を用いたインバータ(およびコンバータ)を使用する場合が大部分である。これらは高調波を発生するが、マイクログリッドにより高調波を抑制できるため、系統への悪影響を緩和できる。