藤村 靖之
2007年01月31日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2007年01月31日 |
藤村 靖之 |
エネルギー・環境 |
エネルギー・ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.79) |
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20世紀は、まさに「電気文明」の世紀だった。電気を利用することで人々の生活は格段に快適・便利になった。ただし少し快適・便利になり過ぎたのかもしれない。ここ数年、夏が近づくたびに電力不足を心配して「電気を大切に」といったテレビCMが流されているが、私たちは必要以上に快適・便利を求めて電気を使っているのではないだろうか。電気エネルギーに限らないが、地球規模でエネルギー資源の枯渇あるいは温暖化が叫ばれる中、何か違う選択肢が必要なのではないだろうか。しかし、その選択肢が「貧しい昔に戻る」のではなく、「新しい豊かさを実現する」ものでなくては面白くない。そこで、新しい豊かさを実現できる非電化製品を発明してみたくなった。冷房、冷蔵庫、掃除機、洗濯機、照明、除湿機…といった一連の非電化製品を4年がかりで実現してみた。電化製品には敵わないが、ほどほどの快適・便利でゆるされるなら、非電化でも実現できるということが確かめられた。例えば非電化除湿機。1 0 畳くらいの部屋なら十分に使える能力はあるし、補給品も一切不要。故障の心配はなく、50年は使えるという点では快適・便利だが、湿気を吸って満杯になると2時間ほど陽光にさらさなければならないという厄介さを伴う。エコロジー派の人からは「少々面倒だけど、電気が要らない、何も捨てない、半永久的に使えるからいい!」と好評だったが、一般の人からは「面倒くさい!」と不評だった。もう1つ分かったことがある。非電化製品は使いようによっては、電化製品よりも愉しめるということだ。例えば、非電化珈琲焙煎器。無農薬有機栽培の質の高い生豆を安い価格で購入し、自分好みに煎って、「煎りたて、挽きたて、淹れたて」の絶品の珈琲をゆっくり愉しむ。最高の贅沢を最低の価格で実現できることに驚かされる。いま、ささやかなブームになっている。