濱 惠介
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2007年01月31日 |
濱 惠介
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エネルギー・環境 |
エネルギー・ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.79) |
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何の前提もなく「エネルギー」と聞けば、読者はまず何を思い浮かべられるだろう。おそらく身近な生活で消費される電気、ガス、灯油、また車に使うガソリンなどではないか。本誌の特集「多様なエネルギーで豊かな暮らし」の対象はそれらを含むが、それで全てではない。窓の外に見える景色や、そこから差し込む日の光のことなどはあまりにも当然で、エネルギー問題との関連が思い浮かびにくいかもしれない。しかし、これらは太陽エネルギーが関わる現象である。生命力の源であり自然界にあり余る太陽エネルギーを差し置いて、狭義の「エネルギー」を論じるのは片手落ちだろう。ここで報告するのは、太陽の熱を給湯・風呂沸かしに利用する方法の定量的評価についての研究成果と願望を込めた将来展望である。
研究の背景と目的
住まいにおける太陽エネルギーの利用のひとつとして、温水器による湯の獲得という熱利用が比較的古くから実践されてきた。個人的な体験では、軟らかいプラスチックでできた扁平な袋のような温水器が自宅にあった。大きさは畳1枚ほど。一九五〇年代末のことで、井戸水を使った自家用水道の高置水槽の上に載っていた。朝、ゴムホースで水道から注水し膨らませ、定量に溜まると水が溢れ出すので、そこで止める。夕方に暖まった水(湯)を同じホースで浴槽に落として燃料の薪を節約するものだ。極めて初歩的なもので、断熱もないから冬には使い物にならなかったかもしれないが、結構役に立っていた印象が残っている。近年、太陽光発電による太陽エネルギーの電気利用の進展は著しいが、太陽熱温水器の新設数は撤去数を下回り、普及率で見た設備ストックは顕著な減少傾向(※1)にある。