檜谷 美恵子
2006年06月25日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2006年06月25日 |
檜谷 美恵子 |
住まい・生活 |
住生活 |
情報誌CEL (Vol.77) |
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はじめに
バブル経済が破綻し、地価と金利が著しく低下した後、住まいの取得環境は大きく変化した。ここ数年、新設住宅の供給戸数は順調に伸びており、利便性の高い市街地で、最新の設備を備えた広い住まいを確保する世帯も増えている。その一方で、適切に維持管理されていない住宅や、十分な性能を備えていない住宅に居住する世帯もいる。また、人口や世帯増の趨勢が停止もしくは鈍化し、空き家が増加しているなかで、恒久的な住まいを確保できず、野宿生活を余儀なくされている者が顕在化している。 この一〇年余りの間に、住宅制度も大きく変貌してきた。三本柱と呼ばれた公庫、公団、公営住宅制度のうち、前二者は廃止、残された公営住宅制度についても、さらなる見直しが進行している。二〇〇六年二月には住生活基本法案が閣議決定され、今後はこれが現行の住宅建設計画法にとってかわる。同法案は、その第三条で、「住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策の推進は、わが国における近年の急速な少子高齢化の視点、生活様式の多様化その他の社会経済情勢の変化に的確に対応しつつ、…現在及び将来における国民の住生活の基盤となる良質な住宅の供給、建設、改良または管理が図られることを旨として、行われなければならない」とうたっている。そのためには、将来の生活基盤形成をも視野に入れた、高い住宅価値の実現に向けての投資が十分に行われるよう、これまでにもまして人々の意識を方向付けることが肝要である。