弘本 由香里
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2006年06月25日 |
弘本 由香里
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都市・コミュニティ |
都市居住 |
情報誌CEL (Vol.77) |
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はじめに
大阪における都心居住の代表的エリアとしてイメージが流通している上町台地界隈に、現実にはどのような居住の実情があるのか。全貌を把握することは容易ではないが、その一端だけでもつかむべく、前号(第七話)では、大阪ガスエネルギー・文化研究所の委託研究として、京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻居住空間学講座高田研究室(以下高田研究室)が実施した調査結果の一部を紹介。GIS(地理情報システム)による居住特性の統計分析と、新設マンション居住者を対象としたアンケート調査を手がかりに、都心における地域コミュニケーションデザインの課題を探った。
前記の調査によって、筆者は次のような課題を改めて確認することができたのではないかと考えている。まず、幹線道路や主要駅を軸に、利便性優先で形成されていく新たなマンションと居住者の集積を、まちとの連続性という文脈の中でどう捉え直していくかという問題。次に、水平型の既存コミュニティが比較的温存されていると思われる地域で、新たに立地するマンションと既存コミュニティの関係性をどうつくりあげていくかという問題。激しい環境変化のダイナミズムを、まちとしてどう受け止め、再構築していくのか。上町台地界隈を持続的に発展可能な真の意味での都心居住の適地としていくことができるかどうか。まちづくりに関わるあらゆるステークホルダーの意識と行動が問われているといってもいいだろう。
その意識と行動に働きかけていく方策の一つとして、居住者の特性に応じた居住者と地域資源・地域活動をつなぐ仕掛けや仕組みの必要性を、同アンケート調査から垣間見ることができた。