真名子 敦司
2006年06月25日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2006年06月25日 |
真名子 敦司 |
住まい・生活 |
住生活 |
情報誌CEL (Vol.77) |
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はじめに
人口減少や少子高齢化、世帯減少社会の到来、資源・環境制約の高まりなど社会経済環境が大きく変化する中で、人々の価値観やライフスタイルも変化し、多様化しつつある。
終戦直後の住宅不足への応急的な対応に始まった我が国の住宅政策は、高度成長期における大都市圏を中心とした世帯数の急増に対応するための新規住宅の大量供給を経て、近年は住宅ストックの質の向上や良好な住環境の確保へと重点が移行してきた。その結果、すでに住宅数が世帯数を上回り、居住水準も改善されつつあるという。一方では、ライフスタイルの変化や多様化にともなって、住空間に求められるニーズも多様化し、高度化しつつあるようだ。
今回は、こうした居住を取り巻く最近の動きを探ってみた。
最近の住宅事情―広さから性能・設備・住環境へと広がる関心―
総務省統計局の「住宅・土地統計調査」によると、二〇〇三年現在の全国の住宅ストック数は、世帯数の一・一四倍であり、量的にはすでに充足され、今も世帯数の増加率を越えて増え続けている。中でも、全ストックの四割を占めるマンションなどの共同住宅の割合は年々増加傾向にあり、特に、六階建て以上の高層マンションの増加率が大きいようだ。
近年、全住宅ストックの平均床面積は年々増加しており、すでに九〇平方メートルを超え、欧州諸国並みの広さになっている。しかし、戸建ての床面積の増加が著しい反面、集合住宅や借家の平均床面積は、全ストック平均の五割程度にとどまっているのが実態のようである。