栗本 智代
宮本 倫明
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2006年03月25日 |
栗本 智代
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都市・コミュニティ |
地域活性化 |
情報誌CEL (Vol.76) |
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対談
“心象”を交歓できる旅へ―住民活動を観光交流の資源にする―
宮本 倫明 Rinmei Miyamoto (有)メディアマーケット 代表取締役
栗本 智代 Tomoyo Kurimoto 大阪ガス エネルギー・文化研究所 研究員
最近、「歩く旅」が静かなブームになっている。従来であれば、大型バスで有名な観光名所をスピーディに見てまわったり、大規模な複合商業施設やテーマパークを訪ねる旅が多かったが、近年では、個人あるいは少人数で、地図を片手にあえて行きにくい場所にも足を運ぶケースが増えている。そんな人は、例えば、そばうち体験や試飲付きの酒蔵めぐり、無人島探訪や地元のボランティアガイドによる町家散策など、インターネットで情報を入手して、目的をもって自分で旅をコーディネートしている。
まちづくりにおいても、遠方からのビジターを意識した、観光を核にした活動が全国で増えてきたという。
宮本倫明先生は、数々の博覧会をプロデュースされる中でも、愛媛県で開催された「えひめ町並博2004」(以下、「町並博」)で、地域づくりの活動を観光交流の資源にする試みとして、持続可能なまちづくりや新たな旅のかたちを提案されている。その視点や切り口、大阪での資源のマネージメントや可能性、今後の旅のあり様についてなど、いろいろとお話をうかがった。
一族での移動から個人で選択する旅へ
栗本 何を求めて旅をするのか、旅行者側も変化してきましたし、タイミングを同じくして、迎え入れる側も、わがまちのよさを広く知ってほしいというソフトづくりに重点をおく活動が増えています。その背景、要因としてどのようなことがあるのでしょうか。
宮本 まず、社会の構成要因の変化があります。従来、血縁によるコミュニティでは、家族や一族で移動するわけです。例えばモンゴルでは今でもそうですが、牧草地を求めて、あるいは冬場をしのぐために旅をする。次に農耕社会になって、地縁=土地を中心にしたコミュニティができると、地域や集落で、みなで例えばお伊勢参りに行ったりする。さらに職を通じたコミュニティが重要になってくると、職場の絆を確かめるために、仕事のネットワークで団体旅行をする。これも高度成長期をピークに減ってきている。そして今多いのは、「好縁化社会」、つまり好みや価値を同じくする人同士で旅行する。これは日本だけかどうかはわかりませんが。
栗本 ちなみに今中国では、団体旅行ブームで、一目瞭然でツアー客だとわかります。